経営の健全性・効率性について
すでに区域内の整備が完了しているため、起債残高は減少傾向にあり、このことが、全国平均及び類似団体平均と比較して良好な企業債残高対事業規模比率に反映されているものと考えられる。一方で、御殿場市の農業集落排水事業は、その成り立ち上、区域内においても接続可能な世帯が限定されており、水洗化率もすでに高い水準となっているため、処理水量の増加による施設稼働率の大幅な向上は困難である。経費回収率が全国平均及び類似団体平均と比較して低位となっていることや修繕費等の維持管理費の増大が見込まれることを考慮すると、長期的な経営の効率性の確保のためには、公共下水道事業との施設統合など事業運営のあり方自体についての検討が必要となる。
老朽化の状況について
御殿場市の農業集落排水事業は、平成14年より整備を開始し、平成17年に供用を開始した。このため、初期に布設された管渠でも経過年数が13年と比較的新しいものが多く、老朽化は維持管理上の大きな問題とはなっていない。
全体総括
現時点で新規の投資は予定されておらず、改築・更新についても喫緊の課題とはいえない状況である。このため、維持管理費と使用料収入との間の不均衡の是正を目指すことが健全な経営に資するものといえる。しかし「1.経営の健全性・効率性」にて述べたとおり、施設の効率性向上による改善には限界があり、現在の事業運営の方式のもとでは、適正な使用料金の設定を検討する必要がある。この検討にあたっては、現在の使用料が公共下水道と同水準となっていること、県内他市町と比較して低位とはいえないこと、公共下水道事業とともに平成31年度の地方公営企業法適用を目指していること、上流部における水質改善への寄与などを総合的に勘案する必要があると考えている。