経営の健全性・効率性について
収益的収支比率が84.41%(前年度比0.26%上昇)と100%を下回り、経費回収率が70.53%(前年度比3.03%低下)で、類似団体平均85.23%を14.7%下回り、汚水処理原価が200.24円(前年度比25.99円低下)で、類似団体平均185.70円を14.54円上回っているが、これらは、流域下水道へ支払う維持管理負担金が増加したこと及び当事業が地方公営企業法非適用であるため、減価償却費が算定されず、起債償還額元金及び利子が費用計上されているためである。なお、企業債残高対事業規模比率は968.45%と類似団体平均の1,053.93%を下回っており良好である。これらは、平成4年度から平成13年度にかけて集中的に大規模な管渠布設工事を実施し、多額の起債をしており、その起債償還元金及び利子がピークを迎えていることを原因としている。当市においては平成29年度から地方公営企業法を適用しているが、これにより減価償却費を算定するなど、適正な費用の把握を行うことが可能となることから、今後はそれに基づく適正な料金算定を実施することが重要となる。
老朽化の状況について
既存の大型団地接続に伴い、不具合施設の改善を進めてきたが、今後、大型団地の管渠を手始めに法定耐用年数に達する保有資産が発生することから、長寿命化計画に沿った施設の改築を進めることが課題となる。平成28年度より5年間で行う長寿命化計画により、マンホールポンプ及びマンホールの修繕工事に着手している。なお、管渠改善率が0.02%と低いのは、管渠等が比較的新しいためであり、今後、老朽化が進むにつれ、改修の必要な管渠が増加することが予想されるため、その財源を確保していくことが課題となる。
全体総括
平成29年度から地方公営企業法を適用しており、法非適用としては平成28年度が最後の決算となる。平成29年3月31日で打切り決算としているため、経営指標についてはその影響を受けているものもある。法適用により減価償却費などの費用が適正に算定できるようになり、平成28年度に策定した施設の更新計画、投資財政計画である下水道事業経営戦略を活用して、より効率的な経営を進めていくことが重要となる。