収益等の状況について
当施設の営業期間は4月下旬から11月下旬であり、年間の定員稼働率が低い施設である。また、宿泊者の9割以上は登山者である事から、天候によるキャンセルが非常に多い施設である。収益等の状況について、昨年と比較すると収益的収支比率、売上高GOP比率、EBITDAの値が悪化しているが、これは週末に悪天候が重なる事が多くキャンセルが多数出たことで、料金収入が減少したことが原因である。また、類似施設の平均値より低い比率であるものの、一般会計からの繰り入れを行い事業を行っているため、宿泊者の増加、宿泊料金の適正化、運営の合理化などの改善努力が必要と考えている。
資産等の状況について
当施設は昭和53年に現在の本館を建築し、平成6年に別館を増築をしている。このような経過から本館の耐震性能が乏しい事や、当初建築時から42年、増築から26年間経過し施設の老朽化や陳腐化が進んでいることが、大きな課題である。耐震化や大規模改修については、多額の設備投資が必要となることから、令和2年度中に施設の果たしている役割、効果、今後のニーズなどを踏まえて施設のあり方を検討したうえで、方針を決定する。
利用の状況について
当施設は北アルプス燕岳への登山口付近に位置し登山者の利用が9割を超える施設である。また、高い湯温の天然温泉を活用して加温加水無しで提供しているため、宿泊者の満足度も高くリピーターが多く訪れる宿泊施設である。一方、冬期間は施設までの道路が冬季閉鎖されるため営業期間が4月下旬から11月下旬に限られること、登山者が主な宿泊者であるために天候に左右されやすく、荒天時には多くのキャンセルが発生し、施設の稼働率が大幅に減少することなどから、安定的な経営に苦慮している。
全体総括
立地の特殊性から特定客層に対して高いニーズを有する施設であり、安曇野市観光のキラーコンテンツである山岳観光を推進するにあたり、必要不可欠な施設であるが、築年数も経っており、今後も競争力を保ち続けるには、施設の大規模改修が必要と考えられる。また、公営の宿泊施設として運営を続けるのであれば、耐震補強も必要と考えている。しかしながら、多額の設備投資を行う必要性や意義については十分に検討する必要があるため、令和2年度中に施設の果たしている役割、効果、今後のニーズなどを踏まえて施設のあり方を検討したうえで、方針を決定する。