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令和2年度の基準財政需要額は、公債費や地域の元気創造事業費などが減となったものの、社会福祉費、高齢者保健福祉費などが増となったことなどにより、全体で増となった。また、基準財政収入額も株式譲渡所得割交付金、自動車取得税交付金などが減となったものの、地方消費税交付金、市民税所得割などが増となったことなどにより全体で増となっている。この結果、財政力指数は、0.90となり、前年度から横ばいとなった。引き続き、市税収入を確保するために、徴収率向上対策等の取り組みを通じて、財政基盤の強化に努める。
令和2年度の経常収支比率は、前年度に比べて1.1ポイントの改善となった。分子にあたる経常経費充当一般財源等は、庁内情報システムの更新による統合情報システム構築委託料の増などによる物件費の増や、繰出金の増などがあったものの、合併特例債の償還が進んだことなどによる公債費の減により、対前年度比0.3%の減となった。また、分母にあたる歳入の経常一般財源等は、地方特例交付金や法人市民税の減などがあったものの、地方消費税交付金の増や減収補てん債の借入などにより、前年度比1.0%の増となったため、比率が改善となった。類似団体との比較では、0.7ポイント上回る結果となっていることから、引き続き、第4次行財政改革大綱に基づき、安定的な自主財源の確保を図りながら、経常経費の削減、公共施設の適正配置・有効活用などの取組を進め、経常収支比率の改善に努める。
人口1人当たり人件費・物件費等決算額は、110,090円となり、前年度比8,595円・8.5%の増となり、類似団体平均を8,085円下回る結果となった。要因としては、物件費については、GIGAスクール構想に伴うタブレットの購入や学校ネットワーク環境整備委託料、統合情報システム構築委託料などの増、人件費については、一般職の期末手当などが減となったものの、会計年度任用職員の期末手当などの増により全体で増となったためである。物件費は引き続き増加しており、その中でも委託料の増加が顕著で、行財政改革により民間委託化を推進してきたことも影響していることから、公共施設の適正配置や有効活用を推進し、施設維持管理コストの抑制を図るなどし、引き続き、経費の圧縮に努める。
東京都人事委員会勧告を踏まえ、給与制度の見直しを実施してきた結果、ラスパイレス指数は99.5で、類似団体平均を0.4ポイント下回る結果となった。今後も東京都や他自治体の動向を踏まえ、給与に関する諸課題を解消し、適正化に努める。
令和2年度の人口千人当たりの職員数は4.63人。前年度比0.01人の増となり類似団体平均との比較では1.41人下回る結果となった。平成13年の合併に伴い人員削減を図った結果、平成13年度以降、合併当初の削減指針を上回る300人以上の削減を行っているところである。今後も定員適正化計画に基づき適正な職員管理を行うとともに、効率的な行政運営に努める。
実質公債費比率は2.1%、前年度比0.4ポイントの増となったものの、類似団体平均を1.3ポイント下回る結果となった。令和2年度は、合併特例債の償還進んだことによる元利償還金の減や、地方債償還が進んだことによる一部事務組合への負担金の減などにより、単年度の実質公債費比率が、前年度から0.2ポイント減少し2.2%となった。しかし、平成29年度単年度の実質公債費率が0.9%と小さかったため、平成30年度からの3か年平均では、2.1%に増加した。令和3年度からは、臨時財政対策債の借入抑制に努めるなど公債費管理を徹底し、実質公債費比率の抑制に努める。
将来負担比率は19.5%、前年度比2.2ポイント減となったものの、類似団体平均を12.4ポイント上回る結果となった。前年度から減少した主な要因は、債務負担行為に基づく支出予定額の皆減や、地方債償還が進んだことによる公営企業債等繰入見込額の減並びに、財政調整基金及び都市計画事業基金の積立てによる充当可能基金の増があげられる。今後も公債費管理を徹底し、より一層行財政改革を推進することで財源の確保と基金残高の回復を図り、財政の健全化に努める。
人件費の経常収支比率は23.4%、前年度比0.2ポイントの減となり、類似団体平均を2.7ポイント下回る結果となった。これは、物件費に計上されていた臨時職員の賃金が会計年度任用職員報酬に計上されたことなどにより増となったものの、定年退職者数の減により退職金が減となったことや、分母である経常一般財源等が増となったことなどによるものである。人件費のうち大きな割合を占めている職員給については、今後も定員の適正化に取り組み、経費の削減に努める。
物件費の経常収支比率は19.6%、前年度比0.2ポイントの増となり、類似団体平均を2.0ポイント上回る結果となった。これは、民間委託による資源収集委託料や学童クラブ運営委託料の増などによるものである。合併市である本市の特徴として施設数が多いため、維持管理経費が増加し、物件費の増加にもつながっていることから、引き続き公共施設の適正配置・有効活用の取組を進めることなどで、これらの維持管理経費の抑制に努める。
扶助費の経常収支比率は13.9%、前年度比0.1ポイントの減となり、類似団体平均を0.6ポイント下回る結果となった。これは、待機児童対策による保育関係や障害関係の経費などが増となったものの、分母である経常一般財源等がそれ以上に増となったことなどによるものである。今後も、待機児童対策などの社会保障関係経費は増加する傾向が続くものと考えられることから、引き続き、特定財源の確保等に努める。
その他の経常収支比率は12.8%、前年度比0.1ポイントの増となったものの、類似団体平均を0.3ポイント下回る結果となった。12.8%のうち12.2%と大きな割合を占める繰出金は、介護保険特別会計や後期高齢者医療特別会計への繰出金で引き続き、増加傾向にある。また、国民健康保険特別会計などに対する財源補てん的な繰出金は減少傾向にあるものの、多額であることから、これらも加味した「実質経常収支比率」を第4次行財政改革大綱の評価指標の一つとして設定し、引き続き特別会計の健全化に取り組む。
補助費等の経常収支比率は12.0%、前年度比0.2ポイントの増となり、類似団体平均を2.5ポイント上回る結果となった。これは、幼児教育・保育の無償化の通年化による私立幼稚園への補助金や保育施設への補助金の増などによるものである。また、民間事業者等に対する補助金も増加傾向にあり、引き続き第4次行財政改革大綱に基づき、財政支援団体への財政支出の見直しなどに取り組む。
公債費の経常収支比率は12.3%、前年度比1.3ポイント減となり、類似団体平均を0.2ポイント下回る結果となった。これは、臨時財政対策債の増などがあったものの、合併特例債の償還が進んでいるため、全体で減となったことなどによるものである。公債費は、平成26年度にピークを迎え、平成28年度にはピークを越えない範囲で一時的に増加したが、今後は横ばいで推移する見込みである。引き続き、後年度負担を十分考慮した地方債の借入に努め、公債費の抑制を図る。
公債費以外の経常収支比率は81.7%、前年度比0.2ポイントの増となり、類似団体平均を0.9ポイント上回る結果となった。補助費等、扶助費及び介護保険特別会計や後期高齢者医療特別会計への繰出金は、引き続き増加していくことが見込まれるため、第4次行財政改革大綱の評価指標の一つとして経常収支比率を設定し、市民サービスの維持・向上と持続可能で自立的な行財政運営の確立を目指して、行財政改革に取り組む。
(増減理由)・財政調整基金について、経常経費の見直しなどの予算制度改革により、健全な財政運営に努めた結果、取り崩しを抑制したことから、残高が増加した。・特定目的基金について、都市計画法に基づいて行う都市計画に係る事業の推進を図るため、都市計画事業基金を新たに設置したほか、新型コロナウイルス感染症対策運転資金の融資に係る利子補給等の助成措置の財源に充てるため、中小企業事業資金融資あっせん基金を設置した。主な増減理由として、みどり基金は原資となる寄附金の実績により、残高が増加した。まちづくり整備基金は、既存庁舎の整備などに活用したほか、これまで都市計画税の余剰分を積み立ててきた金額を、新たに設置した都市計画事業基金に繰り入れたため、残高が減少した。庁舎整備基金は、防災・保谷保健福祉総合センター等の整備に活用したため、減少した。(今後の方針)・財政調整基金は、安定した財政運営を行うために、残高に留意しつつ、新型コロナウイルス感染症への対応を含め、必要な行政サービスへの活用も図っていく。・特定目的基金については、それぞれの基金の設置の趣旨に則して、確実かつ効率的な運用を行いつつ、優先的に取り組む事業への活用を図るなど、適正な管理・運営に努める。
(増減理由)・年度間の財源を調整し、財政の効率的執行を図るため、補正予算を含め、14億7,500万円の取崩しを予算計上したが、目標を踏まえた財政運営に努め、8億7,500万円の取崩しを留保した結果、令和2年度末残高は、標準財政規模の8.5%となる33億7,200万円となった。(今後の方針)・財政調整基金は、直近3か年において、第4次行財政改革大綱の評価指標の一つとして設定している標準財政規模の10%を維持できていない。今後、安定した財政運営を行うためにも、財政調整基金残高の確保は重要であり、目下、新型コロナウイルス感染症への対応等、必要な行政サービスへの活用も図りつつ、中期的に、評価指標における目標の達成を目指す。
(増減理由)(今後の方針)
(基金の使途)・都市計画事業基金:都市計画に係る事業の推進・まちづくり整備基金:公用又は公共用に供する施設及びその用地の整備・みどり基金:緑の保護、育成、緑地の確保等の緑地事業の推進・庁舎整備基金:庁舎及び用地の整備に係る資金・地域福祉基金:総合的な地域福祉の推進(増減理由)・都市計画法に基づいて行う都市計画に係る事業の推進を図るため、都市計画事業基金を新たに設置し、これまでまちづくり整備基金の中に都市計画税の余剰分を積み立ててきた金額を繰入れるとともに、前年度の都市計画税の余剰分を積立・まちづくり整備基金:既存庁舎の整備などに活用したほか、都市計画事業基金への積立により、残高が減少・みどり基金:人にやさしいまちづくり条例に基づく寄附金の積立額が、公園事業の整備に係る取崩額を上回ったため増加・庁舎整備基金:庁舎整備事業への活用により減少・地域福祉基金:特別会計繰出金の抑制分などから積立を行った一方で、総合的な地域福祉の推進を図るため取り崩したことにより微減(今後の方針)・都市計画事業を推進するため、計画的な活用を図っていく。・まちづくり整備基金:土地の売払収入が大きな財源となることから、公共施設の適正配置を進めることで、基金残高の回復を図りたい。・みどり基金:緑の保護、育成、緑地の確保等を図るべく、引き続き残高の確保に努める。・庁舎整備基金:今後庁舎統合方針の見直しを予定しており、適切な活用を検討していく。・地域福祉基金:総合的な地域福祉の推進を図るべく、引き続き残高の確保に努める。
有形固定資産減価償却率は52.3%、前年度比0.6ポイントの減となり、類似団体平均を8.7ポイント下回る結果となった。学校校舎の整備等により、新規の有形固定資産の増加が減価償却を上回ったことが主な要因である。今後、各公共施設の老朽化への対応を見据え、次期総合計画作成に合わせて、令和5年度作成予定の公共施設等総合管理計画に基づき、計画的な維持管理や統廃合を検討する。
債務償還比率は616.1%、前年度比19.6ポイントの減となった。合併特例債の償還が進んだことが要因として考えられる。今後は、公債費の償還額以下に地方債の発行額を抑制することを目指しながら財政の健全化に努めていく。
令和2年度は、合併特例債の償還が進んだことで、将来負担比率は減少した。有形固定資産減価償却率についても減少した。類似団体との差については、これまで、合併特例債等を活用して公共施設の整備を実施したことにより、新たな施設の建設や改修工事等に係る起債額が大きかったためと考えられる。今後、公共施設の老朽化が進行し、維持管理に要する経費が増加することが見込まれるため、地方債の発行を厳格に管理し、財務書類を活用しながら公共施設の更新を実施していく必要がある。
令和2年度は、将来負担比率は減少したが、実質公債費比率は増加した。実質公債費比率は、元利償還金の額が減少し、元利償還金のうち特定財源を充当できるものについても償還が進んだため、単年度の実質公債費比率は、前年度から改善した。ところが、下記の3か年平均では、比率が低かった単年度の平成29年度実質公債費が3か年平均の対象外のため、前年度から比率が上昇した。実質公債費比率は、類似団体よりも低い水準にあるが、将来負担比率が他団体と比べて高い水準にある。これは、合併特例債や臨時財政対策債費等の影響により、公債費全体に対する交付税算入額が多くなり、実質公債費が低く押さえられる一方で、将来にかけては交付税算入額の減少が見込まれることから、将来負担比率は比較的高くなっていると考えられる。
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