経営の健全性・効率性について
経営の健全性については、「①経常収支比率」が示すように104.75%と、経常利益が黒字となっているが「⑤経費回収率」をみると75.80%となり、本来使用料で回収すべき経費を全てまかなえていない状況である。経費回収率については、年々わずかではあるが改善されている。歳入においては、水洗化率向上による使用料収入の増、歳出においては、汚水処理に係る経費の削減を推進し、経費回収率の向上に努め引き続き経営の健全性を確保する必要がある。また「③流動比率」においては75.01%と類似団体平均値82.47%をやや下回っているが、前年と比べ改善されていることや、一時借入金の実績がないことから、短期的な債務に対する支払能力については問題ない。「企業債残高対事業規模比率」は553.53%で類似団体平均値664.04%を下回っているが、今後も計画的な投資により適正な債務残高の維持に努める必要がある。経営の効率性については、「⑥汚水処理原価」が150.00円と1㎥あたりの汚水処理原価が類似団体平均値146.48円をやや上回っている。また、汚水処理原価の算定に用いる有収水量は経年で比較すると減少傾向であるため、接続率の向上による有収水量の確保などの措置が必要となってくる。また、施設の効率性を示す指標として年間有収率が79.74%、「⑧水洗化率」が94.12%となっており、おおむね効率的に運用ができている。「⑦施設の利用率」については、処理施設を有していないため、該当しない。
老朽化の状況について
施設全体の減価償却率の状況を示す「①有形固定資産減価償却率」は20.12%となり、施設全体の老朽化が進んでいることが分かる。類似団体平均値30.09%と比較すると低い数値となっているが、これは供用開始の新しい施設を有しているためであり、償却資産を個別にみると、差異がみられる。管渠については、「②管渠老朽化率」0%、「③管渠改善率」0%が示すように、法定耐用年数を経過した管渠は保有しておらず、管渠の更新投資・老朽化対策については実施されていない。今後は下水道管路長寿命化計画の策定により、更新事業が予定されていることから、適切な施設の維持管理を行いながら、所要の財源確保に努める必要がある。
全体総括
各指標を見ると類似団体平均値を下回る数値があり、引き続き、有収率や水洗化率の向上に努め、施設の効率性を確保しながら、施設の老朽化対策を計画的に進めていく必要がある。また、施設の更新事業に対する所要の財源確保のため、適正な債務残高を維持しながら水洗化率向上による使用料収入の増や適正な施設の維持管理による汚水処理費の減に努め、経常利益の確保や経費回収率の向上など、経営の健全化も併せて図ることとする。