経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率、④企業債残高対事業規模比率平成26年度から収益的収支比率が100%未満になったが、これは、平成22年に供用開始した別所・巴川地区の農業集落排水事業の企業債償還が始まったことによる。当市の農業集落排水事業は既に施設整備が完了し維持管理の段階になっている。分担金収入がほとんど見込めない中で、収益的収支比率100%未満が続くことは実質収支の赤字転落に繋がるため、一般会計からの繰入金、使用料収入など財源確保に取り組む必要がある。⑤経費回収率、⑥汚水処理原価平成27年度の使用料単価が145.1円/m3に対して、汚水処理原価は190.8円/m3であるため、経費回収率は76%となっている。汚水処理原価の内訳は、維持管理費分であり、資本費の全ては、分流式下水道に要する繰出金等により公費負担となっている。⑦施設利用率晴天日最大処理能力831m3に対して、約47%程度の施設利用率となっている。なお、平成27年度における晴天日最大処理水量は1,014m3を記録しており、日によって処理能力の122%の施設利用率の時がある。なお、使用料金は定額制であり使用水量の多寡に拘らず月あたり「2,000円+世帯人数×400円」(税抜)を徴収している。
老朽化の状況について
最初に整備した太田上地区の供用開始が平成14年、次に整備した久那地区の供用開始が平成18年、最後に整備した別所・巴川地区の供用開始が平成22年であり、比較的に新しい施設ではるが、太田上集落排水処理センターについては、平成29年度に施設機能強化の全体設計、平成30年度に改修工事を予定している。
全体総括
当市農業集落排水事業は、規模が小さく処理区域内人口密度が低いため、汚水処理原価が他の事業に比べ高い傾向にある。それに併せて使用料単価も他の事業に比べ高く設定しているが、維持管理費の全てを使用料で賄えていないため、維持管理の更なる効率化を図るとともに、一般会計からの繰入金や使用料収入などの財源確保を総合的に検討し、事業の安定確保を進めて行かなくてはならない。