経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は100%を上回っており、全国・類似団体より高い水準にあります。これは長期前受金戻入(経常収益に計上)が大きいためと考えられます。③流動比率は100%を下回っており、全国・類似団体より低い水準になっています。流動負債の約80%は企業債ですが、今後も建設改良のための投資は増加する見込みであり、厳しい状況が続くものと見込まれます。④企業債残高対事業規模比率は類似団体より高い水準にあります。今後も合理的な投資による適正な債務残高の維持や、使用料収入の確保に努める必要があります。⑤経費回収率は、平成28年、平成30年の2段階にわたる使用料改定により改善が図られたものの、未だ100%を下回っています。今後も、経営の効率化による経費削減に努めるとともに、水洗化率の向上等により使用料収入の確保に努める必要があります。⑥汚水処理原価は、類似団体より高い水準にあります。老朽化した管渠等の更新費用は今後ますます増大が見込まれることから、ストックマネジメント手法を用いたライフサイクルコストの低減化・最適化を図るとともに、維持管理についても効率的な施設管理及びコストの削減に取り組むことが必要です。⑧水洗化率は、全国・類似団体より低い水準にあります。水洗化率の向上は、資産の有効活用や使用料収入確保に繋がることから、戸別訪問などによる接続促進に努めていきます。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、全国・類似団体を大きく下回る水準となっています。本市は令和元年度から企業会計に移行しましたが、それ以前に減価償却された資産については減価償却累計額に計上されていないことが要因です。②管渠老朽化率は、全国・類似団体を大きく上回る水準となっています。本市では、事業着手から約80年が経過していることから、管渠総延長約1,258㎞のうち、法定耐用年数を超える管渠が約225㎞あるためです。③管渠改善率は類似団体の水準を上回っているものの、管渠老朽化率は高いため、老朽化した管渠の計画的な更新が急務となっています。
全体総括
単年度の収支は黒字であり、累積欠損金も発生していませんが、使用料改定後も汚水処理にかかる経費を使用料収入で賄えていない状況が続いています。今後においても、経費回収率などを指標として適正な下水道使用料について適宜検討を行うとともに、併せて水洗化率の向上への取組等により、財政基盤の強化を図ります。また、施設の更新等にあたっては、ストックマネジメント手法の導入・活用により、施設のライフサイクルコストの縮減と費用の平準化を図ります。以上のような取組みに基づき、今後も安定的かつ継続的に下水道サービスを提供できるよう、事業運営に努めていきます。