経営の健全性・効率性について
「①経常収支比率」及び「③流動比率」は共に100%を超えており、望まれる水準を上回っていることから、現時点で経営の健全性は保たれている。「③流動比率」は、H27と比較して約30ポイント向上した。これは、企業債借入額の増等に伴う資金増加によるものである。「④企業債残高対給水収益比率」は、企業債残高の減少に伴い継続して減少しているが、類似団体平均と比較すると大幅に上回っている。計画的な投資と財政状況のバランスに考慮して、企業債残高の低減に努めていく必要がある。「⑤料金回収率」、「⑥給水原価」及び「⑦施設利用率」からは、概ね効率的な経営ができていると考えられるが、更なる収益性の向上のため、漏水対策等により「⑧有収率」の向上に引き続き取り組んでいく。
老朽化の状況について
類似団体と比較して、「①有形固定資産減価償却率」は同程度、「②管路経年化率」は低い状態にある。しかし、各数値が年々上昇していることに加え、「③管路更新率」が低い状況にあることなどから、効率的に更新を実施し、災害に強い施設・管路の構築を着実に進めていく必要がある。
全体総括
市町村合併による給水区域の広がりや企業債残高の増加など、経営指標の悪化に繋がる要素があったものの、「1.経営の健全性・効率性」、「2.老朽化の状況」ともに類似団体と比較して概ね同程度の数値を示している。これは、経営健全化計画に基づいた事業の効率化や人件費の抑制など、これまでの取組みが一定の成果を挙げたものと考えられる。給水需要が減少傾向にある中、将来にわたり健全経営を継続し、本市が掲げる「良質な水道水の安定供給」を達成するためには、中長期的な視野に立った「計画的な投資」と更なる「経営コストの削減」など、これまで以上に「合理性・効率性」が求められる。また、常に財政状況や財政見通しを点検し、必要に応じて適切な措置を講じることにより、施設・管路の更新にかかる財源を確保する必要がある。