経営の健全性・効率性について
下水道を整備中の地域(一関・千厩地域)では多額の費用を投資している状況と、下水道普及についても途中段階であることから、現段階では、使用料収入のみでは、施設整備に係る起債償還分を賄えないため、一般会計から繰り入れている状況です。今後、処理区域の拡大と接続率の向上により使用料収入の増加も見込まれますが、人口減少や、施設の老朽化に伴う修繕や更新費用の増大などにより、下水道の経営環境が一層厳しくなると考えられることから、中長期的な視点に立った計画的な経営基盤の強化が必要となります。施設利用率には、岩手県が管理する流域下水道の一関浄化センター分は含まれておらず、市で管理する2処理場分となり、管路整備途上の処理区があるため、類似団体平均を大きく下回っています。
老朽化の状況について
平成23年度は東日本大震災による災害復旧において管渠更新を行ったところです。供用開始後20年以上を経過した施設では、コンクリートの劣化や電気、機械設備の老朽化などにより修繕の必要性が高まってきています。初期段階で整備した区域などでは、管渠の構造的な原因や老朽化などにより不明水対策が必要な箇所があります。今後、汚水処理施設の長寿命化のため、計画的な施設改築や修繕が必要です。処理区ごとに順次策定予定の長寿命化計画に基づき計画的な施設更新や改築を行います。
全体総括
持続的で健全な汚水処理事業の経営のため、中長期的な財政見通しを基に、効率的で安定した汚水処理事業の経営に向けた体制を整えます。一つ目に、効率的で安定した経営を目指すため、平成28年度に策定した経営戦略を基に、平成32年度からの地方公営企業法適用への移行を進めます。二つ目に、将来的な経営を見通した施設の統廃合や組織体制を見直します。三つ目に、中長期的な経営見通しを反映した使用料の適正化を図ります。また、現在整備中の一関処理区と千厩処理区においては、地域ニーズ及び周辺環境への影響を踏まえ、概成を目指すため、効率的な整備手法に見直します。