収益等の状況について
①収益的収支比率については、過去5年間についていずれの年も100%未満であり、慢性的な赤字である。⑦EBITDAの数値においても類似団体との平均値を下回り、マイナス値となっているため、黒字化のための経営改善が必要な状況である。コロナ禍で先行き不透明ではあるが、今後需要が見込まれるキャンプや車中泊に対応するため、屋内でキャンプが楽しめる宿泊プランや、夏季のバーベキュープラン、うどん打ち体験、サイクルツーリズム等を組み合わせた付加価値の提供によって、客単価の向上に努めているところである。
資産等の状況について
当該施設は平成8年の大規模リニューアル後、20年以上経過し、施設の老朽化及び旅行客のニーズの変化に対応していく必要がある。施設の老朽化対策については、一般会計からの繰入金によって老朽個所を都度修繕し、施設設備の更新需要に対応していく予定である。旅行客のニーズの変化については、過去に全客室へのWi-Fi整備、稼働率の低い和室の洋室化工事を実施済であり、今後は老朽箇所の修繕時にその時の流行を取り入れた施設改修を続けていく方針である。
利用の状況について
⑬施設と周辺地域の宿泊者動向については、新型コロナウイルスの流行によって、全国的な低下傾向にあり、当施設においても4/22~6/20、2/8~3/31(年度合計113日間)の休館等もあり、宿泊者数が大きく落ち込んだ。こうした中、コロナ禍でも根強いニーズのあるキャンプユーザーを取り込むため、インドアキャンプや、駐車場の一部区画で車中泊にも対応する宿泊プランを開発。今後の利用者増加を見込んでいる。
全体総括
当該施設は、国立公園内の認可事業であるだけでなく、宿泊施設が少ない当市で宿泊客の受け皿となっており、施設の必要性も高い。経営については、現在指定管理者制度(利用料金制)を採用し、運営企業のノウハウによって個人旅行客獲得に取り組んでいる。当市は、一定額以上の施設修繕や施設改修等を一般会計からの繰入金で行う前提で指定管理者制度を施行しているため、当企業会計の黒字化は当面不可能である。しかしながら、経営戦略に基づき老朽化した施設の更新需要に計画的に対応しつつ、当該施設が位置する県立公園及び周辺地域全体の観光ニーズの掘り起こしや周辺環境整備によって、運営企業を支援し、将来的には施設更新経費を賄う制度づくりに取り組みたい。