収益等の状況について
令和5年度における収益的収支比率は、全国平均120.7%、類似施設平均102.5%であるのに対し、本施設は88.2%となっている。前年度よりは僅かに上がったが、本年度も類似施設平均の値を下回り88.2%となった。稼働率は震災以降、復興関連の利用者が増加し、全国平均及び類似施設平均値より高い水準で推移していたが、復興関連事業者も撤退し、震災特需の関係での利用者はなくなり、さらに新型コロナウイルス感染症の影響で利用者が減となった。また目的別利用者別に前年度と比較すると、ビジネスとツアー利用者合計が約20%利用者が増加しているのに対し、宿泊者総数が約1,000人程度減少している。前年度より3.4ポイント下回り、本年度は11.9%となった。他会計補助金の比率直近4年間は全国平均及び類似施設平均値より低い数値で推移していたが、本年度は全国平均より13.8%高く、類似施設の平均で比較すれば17.8%高い状況となっている。新型コロナウイルス5類移行に伴い、一般観光客等の利用拡大に向けた取り組みを進める中で、全国旅行支援の終了により大幅な利用者の減少が起きた。
資産等の状況について
平成25年度から老朽化した施設の更新を進め、宿泊施設としての機能水準の向上と業務の効率化など図っている。本年度では客室の空調冷媒設備の更新、火災通報装置の更新等利用者の利便性向上に係る工事や重油ボイラー改修工事など施設の更新を行った。また、企業債残高対料金収入比率は全国・類似施設の平均より高く、将来的に経営の不安定要因とならないよう留意する必要がある。
利用の状況について
震災前の利用状況は、5年(H18~H22)平均で約6,200人となっていたが、震災後の特殊需要(復興関連利用の増加)により震災前と比較して大幅な利用者増となっていた。しかし、震災関係の利用者は現在はなくなり、一般観光客等の利用をいかに増やしていくかが重要となっている。本年度においても、新型コロナウイルスの影響により観光業が大打撃を受け、全国旅行支援の終了などにより、令和5年度利用者は4,181人と前年度に比べ約1,000人減少となっているが、中食や冠婚葬祭の利用者は前年度に比べ、増加している。
全体総括
本施設は、地域振興や村民力の向上にも果たす役割・効果が将来的に大きく、施設の老朽化対策や宿泊施設としての機能水準の向上、また、経営の健全化・安定化を図るための集客力強化など、今後の社会経済の変化を予測し早急に対処しなければならない課題が多く、その課題解消・改善には、産業団体や民間企業、一般村民、行政などが一体となった魅力と観光力を備えた体制の構築が必要であり、三セク又は民間への経営移転も含めた検討を行うとともに、良質なサービスの提供と業務の効率化などにおいてコスト削減に努める。新型コロナウイルスの影響が終息し、全国旅行支援が無くなった後でいかにして集客していくのかが大きな課題となる。