収益等の状況について
①収益的収支比率については、過去5年間について、100%を切っていることから、慢性的な赤字であり、類似施設の平均値と比較しても収支比率は低いものとなっている。ただ、②他会計補助金比率や③宿泊者一人当たりの他会計補助金額については、若干であるが、平均値より低く、繰入金に依存している割合が少ない状況である。また、⑥売上高GOP比率や⑦EBITAは低く、改善している状況でないことから、民間企業への譲渡をできるような経営状況であるとは言い難く、今後、経営改善に向けた取組が必要である。
資産等の状況について
当該施設は、現在の状態で稼働し20年を経過していることから、宿泊者の求めるニーズに十分に対応できているとは言い難い状況である。大幅な設備改修を現在までほとんど行えていない状況であるが、平成30年度以降は、必要な更新投資を計画的に進めていく予定である。具体的には、各客室に浴室設備がない、洋室が少ないという利用者の声に対応するために、平成30年度及び31年度で、和室をユニットバス付の洋室に改修する予定である。平成32年度以降の計画については、経営戦略に盛り込む予定である。
利用の状況について
⑬施設と周辺地域の宿泊客数動向については、平成26年まではどちらも上昇し、それ以降は下落、平成28年は周辺地域の宿泊者数は持ち直しているが、当該施設においては減少となっている。このことから、周辺地域における宿泊需要は高まっているが、当該施設においては宿泊需要が低下している状況であるため、今の課題を整理し、更新投資を行うことで宿泊需要に対応することが必要である。平成30年度から予定している客室改装の他に、平成29年度は、ネット環境が十分に整備されていないという現状の改善のため、館内に宿泊者向けの無線LAN環境の整備工事を行い、宿泊者が通信費用や速度を気にすることなくインターネットが使用できる環境を整備することで、課題の解決を図ったところである。
全体総括
収益的収支比率、売上高GOP比率やEBITAの値が低く、民間譲渡をできるような状況であるとは言い難い。しかしながら、当該施設は、国民宿舎であり、当市における代表的な宿泊施設として今後も存続することが必要である。現在の慢性的な赤字状態を打破するためには、平成32年度を目途に策定を予定している経営戦略の中で中長期的な収支計画を取りまとめ、その経営戦略に基づき、更新投資も計画的に実行することで、健全な経営状態を目指す予定である。