収益等の状況について
令和3年度は、指定管理者に経営を移行し、年間を通じ、本格的な運営を行った事業年度である。令和3年4月から9月末、翌年1月から3月までの新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言やまん延防止施策による行動制限によって宿泊事業の自粛を余儀なくされたことから、収益状況を示す指標は、行政主導で行った旅行支援施策等の支援もあるものの、前年度より回復傾向とはいえ例年とは異なる結果を示している。そうした状況下にあって他会計補助金比率においては、施設維持管理経費等に充当するために一般会計から多額の繰り入れを行っており、一般会計に大きく依存している。
資産等の状況について
建設当初(S63)から修繕は繰り返ししているものの、30年以上経過しているため、各所で老朽化や陳腐化が顕著である。現在は、町と指定管理者において改修の費用負担区分を明確にし、全ての改修は、適宜、指定管理者が実施し、町が負担すべき費用については、指定管理料をもって町が負担する仕組みを取り入れている。この上限額は、指定管理期間である5年間において上限50,000千円としている。こうした仕組みにより、施設の閑散期を利用した改修や適時修繕が行うことができ、合わせて改修費の増大抑制が可能となった。一方で上限額を超える大規模改修が発生した場合は対応の検討が必要である。効果的な改修や資産の適正管理を行ううえで、指定管理者とともに真に必要な投資を見極める必要がある。
利用の状況について
過去5年間における本町における宿泊需要は一定程度あるものの、令和3年度の本事業においては「1.収益等の状況」で記載のとおり異例な年となったため、比較分析することが困難である。今後、全国的に旅行業界を取り巻く状況を注視しつつ、観光需要に即した対策を講じるとともに、本事業の目的に縛られず、多用途な利用目途によるな開放も検討する必要がある。
全体総括
全国的に続くコロナ禍の影響により観光業界や観光需要の冷え込みは顕著である。加えて本事業においては指定管理者の交代を行ったものの、経営的には不安定な事業展開となっている。町外利用者の宿泊だけでなく、広く地域活性化施設としての利用も重要であるとの認識から再度、指定管理制度を採用し民間の事業者に運営を任せることとした。本事業は依然として厳しい状況にあるが、広く理解を求める努力を継続するとともに、指定管理者と協調して効率的かつ安定的な事業展開を図る必要がある。