経営の健全性・効率性について
汚水処理に要する経費を使用料で賄えており、その結果、経常収支比率は100%を超え、単年度収支は黒字で推移している。資金の留保もできており、流動比率は100%を超えている。企業債については、新規発行額を償還額の範囲内とすることで残高の抑制に努めてきたが、令和3年度については、宇部・阿知須公共下水道組合の解散に伴う債務の承継により、残高が増加した。しかしながら企業債残高対事業規模比率は類似団体よりも低い水準で推移している。施設利用率については、本市公共下水道事業は汚水と雨水の両方を処理する合流施設を多く有しており、その施設は雨天時を想定した処理能力となっているため、晴天時においては他団体に比べて低い水準になる特徴がある。水洗化率については上昇傾向にあり、引き続き水洗化促進の取り組みを行っていく。
老朽化の状況について
本市の公共下水道事業は事業着手から70年を経過しているが、有形固定資産減価償却率は類似団体よりも低い水準となっている。これは、本市の公共下水道事業が平成22年度に公営企業会計に移行するまでの減価償却累計額が反映されていないことによるものである。実際には施設の老朽化は、管渠老朽化率に示されるとおり、類似団体に比べ進んでいる状況にある。現在本市は国土交通省の示す「10年概成」に沿って下水道整備区域の見直しを行い、令和8年度までに新規整備を完了する予定としている。本格的に新規整備から維持管理の段階に移っており、既存施設の改築更新を積極的に進めている。なお、令和3年度は、宇部・阿知須公共下水道組合から引き継いだ管渠が法定耐用年数を経過していないことが影響し、管渠老朽化率、管渠改善率共に減少した。
全体総括
本市の公共下水道事業は、現時点においては黒字を計上しているが、人口減少に伴う使用料収益の減少や老朽化施設の改築・更新に要する経費の増大により経営状況はますます厳しくなっていくことが予想される。このような状況においても事業を継続していくために、従来努めてきた経費削減に加え、官民連携手法の活用による事業の効率化に努めるなど、一層の経営努力を行っていく必要がある。