経営の健全性・効率性について
本市の公共下水道事業は、供用開始から29年を経過しますが、下水道普及に大きな遅れがあり、未整備地区の早期整備に取り組んでいます。また、整備済の中心市街地から、郊外の未整備区域への人口移動等も、普及率が低い要因にもなっています。今後の下水道整備は、高い需要の見込める地域を優先するなど、処理場ストックを最大限に使用できるよう整備を進めていきます。本市公共下水道事業の企業債残高は、平成19年度の390億円をピークに減少していますが、今なお320億円の残高を抱えており、令和元年度は、元金償還22.8億円、支払利息3.3億円を支出しています。高利な企業債が順次完済となり、支払利息は年々減少していますが、現在償還中の企業債の多くが元利均等返済方式のため、償還総額は同程度で推移しています。多額の償還額は、①経常収支比率、③流動比率、⑤経費回収率を低下させ、⑥汚水処理原価を押し上げる要因となっています。⑦施設利用率、⑧水洗化率は、年々向上していますが、類似団体、全国平均と比較した場合、依然低い水準にあります。未整備地区の早期整備のほか、既整備区域の水洗化促進に取り組む必要があります。なお、平成30年度から公営企業会計に移行したことに伴い、平成29年度以前(法非適)の数値はこの分析表に記載されていません。また、④企業債残高対事業費率、⑤経費回収率、⑥汚水処理原価のH30当該団体値(当該値)は、それぞれ④「2,359.05」、⑤「100.00」、⑥「169.80」の誤りです。
老朽化の状況について
法定耐用年数に達した管渠がないため、老朽化対策は行っていませんが、機械設備・電気設備には耐用年数を経過している施設もあり、平成30年12月に作成した「下水道事業ストックマネジメント基本計画」に基づき、長寿命化を含めた対策を行っていきます。
全体総括
平成30年度に公営企業会計に移行したことに伴い、経営戦略を抜本的に見直し、令和3年度に公表します。新たな経営戦略では、料金水準の見直しに先立ち、水洗化率向上へ向けた取組、維持管理費を削減する取組による経営改善について、目標を設定し、事業を継続できる財政基盤の強化を図ります。本市の下水道整備率は、全国的に低い水準にありますが、岡山県都道府県構想(クリーンライフ100構想)の見直しを図る中で、未整備地域の解消、合併処理浄化槽補助事業の推進により、水洗化率の向上を目指します。また、「下水道事業ストックマネジメント基本計画」に基づき、効率的な施設更新に取り組みます。