地域において担っている役割
急性期から療養期まで、幅広い病期の患者受入れ体制を構築し、地域に根ざした医療提供を行い、地域住民への安心の提供を行う体制を維持している。また県内唯一の精神科を有する町立病院として、精神科医療に貢献し、特に精神疾患患者等の身体合併症患者の受け入れや認知症高齢者への訪問診療に取り組んでいる。令和3年3月には、県からへき地医療拠点病院の指定を受け、準無医地区を中心とした過疎地域における医療の提供を担い、地域医療の確保に努めている。
経営の健全性・効率性について
自治体が運営する精神病床を有する病院が近隣にないことから、同種の病院区分平均より病床利用率は高くなっているが、採算確保が困難な医療を提供しているため、一般病院と比較すると医業収支比率は低くなっている。特に精神病棟においては入院患者の病態変化や地域生活への移行が進んでおり、病床利用率が減少傾向にある。また、併設する一般病床・療養病床の入院患者数および外来患者数については、人口減少や予防医療、保健事業による健康増進施策の展開等により減少傾向にある。特に、令和2年度においては新型コロナウイルス感染症の影響による受診控えと受入病床確保により一般病床における入院患者数および外来患者数が減少している。
老朽化の状況について
平成17年に病院を改築し15年が経過していることから、施設全体の1床当たり有形固定資産については、平均に比べ低い数値となっている。器械備品については、平成25年度に電子カルテ、CT等の高額な医療機器を整備し起債償還が多額となっている。医療機器の耐用年数を超えているものがあるが、可能な限り修繕等で対応している状況に変わりはない。
全体総括
令和2年度においては新型コロナウイルス感染症の影響もあり、昨年度に引き続き入院・外来患者数ともに減少した。人口減少、精神障がい者の地域移行による病床利用率の減、予防医療や保健事業による健康増進施策の展開により今後も病床利用率や収益の改善は見込めない状況である。しかし、救急告示病院やへき地医療拠点病院として地域医療を確保するための重要な役割を継続して果たすために、経営コンサルタントの知見を活用し、介護療養病床の機能転換を含めた病院全体の病床機能のあり方や、中長期にわたる経営の安定化のための議論を加速化していく必要がある。