地域において担っている役割
・自治体病院の中でも数少ない身体合併に対応できる精神科をもつ病院として、高齢化の進む地域において、地域住民を支える医療の提供、保健、医療、福祉の連携及び地域包括ケアシステムの中心的役割を担っている。
経営の健全性・効率性について
自治体が運営する精神病床を有する病院が近隣にないことから、同種の病院区分平均より病床利用率は高くなっているが、採算確保が困難な医療を提供しているため、一般会計からの繰入があり、一般病院と比較すると医業収支比率は低くなっている。近年は、精神障害者の地域生活への移行が進んできており病床利用率が減少傾向にある。また、人口減少や予防医療、保健事業による健康増進の施策の展開により、当院の患者で一番多い年代であった60から70歳代の患者数が減少しているため、併設する一般病床、療養病床とも減少傾向にある。このため、一日当たりの診療単価が上昇してはいるが、上昇が弱いためマイナス要因である患者数の減少の影響が強く反映され、医業収益が減少している。
老朽化の状況について
平成17年に病院を改築し、施設全体の老朽化については低い数値となっているが、機械備品については、平成25年度に電子カルテ、CT等の高額な機器を整備し起債償還が多額となっているため、機器更新の時期等をむかえているものがでてきているが、修繕で対応している状況である。
全体総括
平成28年度診療報酬改定はマイナス改定となり減収が見込まれたが、積極的な重症者の受入と病床コントロールにより影響を最小限にとどめた。患者数の減少が、一日当たりの診療単価を上昇させてはいるが、上昇が弱いためマイナス要因である患者数の減少の影響が強く反映され、医業収益が減少している。また、近年課題となっている、医師の確保に加え常勤医師の高年齢化という状況から経営の改善が厳しい状況にある。しかし、高齢化の進む地域において、地域住民を支える医療の提供、保健、医療、福祉の連携及び地域包括ケアシステムの中心的役割を担っている当院は、今後も地域の医療水準の確保と地域住民の健康維持・生活維持のための医療提供と経営とのバランスを常に考えていく必要がある。