経営の健全性・効率性について
○経常収支比率は、100%を上回っており、単年度の収支は健全性を保っている。一方で、経費回収率は類似団体平均と同程度であるものの、100%を下回っていることから、適正な使用料収入の確保を図る必要がある。○流動比率は、100%を下回っているが、流動負債のうち企業債については、償還原資として翌年度の使用料収入等を見込んでおり、未払金も含め支払いに問題が生じる見込みはない。○現在も年次的に面整備を継続しているが、企業債残高は年々減少している。一方で、企業債残高対事業規模比率は、全国平均及び類似団体平均を上回っており、資本費に対する適切な使用料水準を検討する必要がある。○汚水処理原価は、類似団体平均を上回っており、維持管理費の削減や接続率の向上などの経営改善を検討する必要がある。○施設利用率は、整備済区域面積が整備対象区域面積の68.9%と低いことから、全国平均及び類似団体平均を下回っており、整備面積の拡大、水洗化率の向上などにより、下水道資産の有効活用を図る必要がある。○水洗化率は、年々上昇しているが、今後も普及啓発に努め、より一層の水洗化率向上を図る必要がある。
老朽化の状況について
○有形固定資産減価償却率は、全国平均及び類似団体平均を大きく下回っているが、事業開始当初の管渠及び施設は約45年を経過しており、今後、更新・補修事業費の大幅な増加が見込まれることから、ストックマネジメント計画の策定等により、計画的な改築更新を検討する必要がある。○管渠については、標準耐用年数である50年に達した管渠がないため、管渠老朽化率及び管渠改善率は低い数値となっている。今後は、点検・調査及び改築・修繕計画の優先順位を検討し、効率的・効果的な維持管理を実施するため、管渠の現状を把握・分析し、予防保全型施設管理の実施により適正な維持管理・延命化を図っていく必要がある。○処理場及びポンプ場等の機械・電気設備については、順次長寿命化計画に基づき改築更新を行っており、今後とも適正な維持管理に努める。
全体総括
当市は、管渠の整備完了までに多くの費用と長い期間を要する一方で、事業開始当初の管渠及び施設の更新・改築時期が到来しつつあり、今後、多額の改築更新経費が見込まれる。今後の取組としては、未普及地域の面整備を年次的に推進し施設の効率性を高めるほか、普及促進活動等により使用料収入の確保に努めるとともに、効率的な運転管理による維持管理経費の節減等に努める。また、施設及び管渠等の計画的な更新補修を行い、効率的な資産管理に努める。また、財務諸表やストックマネジメント計画策定を通じた現状把握と今後の投資・財政見通しの検証により「経営戦略」の適切な見直しを行い、事業の安定的かつ持続的な運営を目指すものとする。