収益等の状況について
過去5年間における収益的収支比率は100%を超えて推移しているが、平成26年度以降は、他会計補助金に依るところにより100%を確保しているところである。特に平成27年度においては施設修繕費に充てるため他会計への依存度が高くなっている。売上高GOP比率、EBITDAにおいても平成27年度以外は一定程度の健全性を確保できている。
資産等の状況について
昭和63年の建設から約30年が経過しているため、施設の資産価値は漸減している。住民生活の福祉の向上と健康増進に寄与するとともに、誰もが低廉で快適に利用できる休養宿泊施設の設置・運営を行うという本事業の目的を果たすという観点からも、本町の観光振興をはじめとする各種施策を踏まえながら老朽化対策やリニューアルの必要性が認められる。現時点で設備投資は見込んでいないものの、観光需要を予測した施設の充実を図る必要がある。
利用の状況について
過去5年間における本町の宿泊数動向は平成26年度をピークに低下しており、本公営企業においても平成26年度に急激に悪化している。これは本事業を含む本地域全体において宿泊需要が厳しい状況にあることに加え、団体旅行から個人旅行への嗜好の変化、地域の観光客数の動向等、観光を取り巻く様態が変化してきたことによるものと考察する。今後インバウンドやインターネットの利活用による誘客のほか、観光資源は一つの行政区で完結するものではないことを踏まえ、本施設を含めた地域全体の魅力向上のための連携を図っていく必要がある。同時に、住民生活の福祉向上と健康増進への寄与するとともに低廉な休養宿泊施設を運営するという事業目的を踏まえつつ、多様な利用形態(例えば合宿誘致等)を検討する必要がある。
全体総括
一定の収益は確保できているが、他会計に依存している状態であり、この脱却が急務である。加えて、地域住民や観光客のニーズの分析によりできる限り正確な需要予測に基づいて、過大な投資を避けながらも施設の充実を図る必要がある。その際には財政当局や関係者と協議を重ねながら、本事業の継続運営が図られるよう財源の確保や起債償還の方法を検討し、収支赤字額を安易に他会計に依存することがないよう計画することが必要である。さらに、民間事業者への影響を踏まえながらも協調を図り、本施設が観光目的だけでなくコンベンション機能など地域住民にとって多用途で利活用されていることを鑑み、本事業に対して広く理解を求める努力を継続しなければならない。