経営の健全性・効率性について
料金収入等の収益をもって、維持管理費や支払利息等の費用をどの程度賄えているかを示す「経常収支比率」や、営業収益に対する累積欠損金の状況を示す「累積欠損金比率」はおおむね良好ですが、これは一般会計からの繰入れを行っていることによります。姫路市は処理区域が広く管渠延長も長いために資本費負担が大きくなっています。このことから、使用料で回収すべき経費をどの程度使用料で賄えているかを示す「経費回収率」が全国及び類似団体平均を下回るとともに、有収水量1.あたりの汚水処理に要した費用である「汚水処理原価」が全国及び類似団体平均を上回る状況にあります。施設の利用状況や適正規模を示す「施設利用率」は、全国及び類似団体平均を下回っています。姫路市は合流式区域を有することから、雨水時の流入水量増加に対応できるよう一定の余力を有しておく必要がありますが、人口減少、節水機器の普及による汚水排出量の減少に伴い、減少傾向にあります。一方で、料金収入に対する企業債残高の割合で企業債残高の規模を示す「企業債残高対事業規模比率」は、平成29年4月の下水道使用料改定(平均9.8%の値上げ)による増収もあり、類似団体平均と比較して良好です。また、処理区域内人口のうち実際に水洗便所を設置している人口の割合を示す「水洗化率」は、全国及び類似団体平均と比較して良好です。
老朽化の状況について
法定耐用年数を超えた管渠延長の割合を示す「管渠老朽化率」は全国及び類似団体平均を上回っています。また、当該年度に更新した管渠延長の割合を示す「管渠改善率」は全国及び類似団体平均を下回っています。このことは、管渠の老朽化対策が進んでいないことを示しています。処理場施設も含めた資産全体の老朽化の状況を示す「有形固定資産減価償却率」は、全国及び類似団体平均と比較して良好であるものの、増加傾向にあります。将来、下水道事業全体で施設の改築更新に多額の投資が必要になるものと見込んでいます。令和元年12月に策定したストックマネジメント計画に基づき、施設管理の最適化や投資の平準化に努めます。
全体総括
「経費回収率」が全国及び類似団体平均を下回っている一方で、「汚水処理原価」は全国及び類似団体平均を上回っている状況にあり、徹底した経費削減と収益確保に努め、経営の効率性をより一層高める必要があります。また、今後は管渠老朽化対策に加えて施設の改築更新に多額の投資が必要になることから、下水道事業の経営環境は予断を許さない状況にあります。今後も引き続き、下水道事業経営戦略に基づき、健全経営に努めます。