経営の健全性・効率性について
経営状況については、これまでから、給水人口の減少や節水機器の普及、大口利用者の地下水転換により、有収水量は減少傾向となっていましたが、令和2年度については、新型コロナウイルス感染症の影響で在宅時間が増加したことなどにより、一般用の使用水量は増加、大口利用者の使用水量は減少しました。これにより、給水収益全体として減少となっていますが、事務事業の見直しなども行っており、「経常収支比率」は、100%を超える良好な状況で推移しています。「流動比率」は、おおむね200%を維持しており、短期的な債務に対する支払能力は確保できています。「企業債残高対給水収益比率」は、類似団体平均値より高くなっていますが、水道料金が類似団体と比べて低いことが原因です。「料金回収率」は、100%を超えていますが、大口利用者の使用水量の減少により、前年度から減少しています。以上のことから、経営の健全性や効率性としては、新型コロナウイルス感染症の影響があり、給水収益の予測がしにくいなど不確定要素はありますが、本決算においては、維持できているものと考えます。
老朽化の状況について
中宮浄水場をはじめ、浄水施設・配水施設については、半数以上が開設後30年以上経過していますが、施設能力の低下を招くことのないよう、適切な維持管理を行っています。特に、昭和40年竣工から50年以上経過した第一浄水施設は、安定した水の供給を継続するために、更新事業に着手しています。また、「有形固定資産減価償却率」は、施設の老朽化が更新投資を上回っているため、上昇傾向にあります。一方、「管路の更新」については、鉛管解消と合わせて順次更新していますが、これまで水道料金の低廉化のために更新投資を抑制してきた影響から、「管路経年化率」は、類似団体平均値に比べて高くなっています。この影響に加えて、地震の影響から「管路更新率」は低くなっています。これらにより、各施設は老朽化が進んでいるため、計画的な更新改良を進めます。
全体総括
枚方市では、給水人口が年々減少しています。また、節水型機器の普及や大口利用者の地下水転換が進み、有収水量、給水収益ともに減少傾向となっています。令和2年度では、新型コロナウイルス感染症の影響による水需要の変化により、給水収益が減少しましたが、概ね健全経営を維持しています。一方で、今後は、中宮浄水場をはじめ、老朽化した管路の更新に取り組みながら、これに対応するための経営基盤の強化に向けた取組も合わせて進めていく必要があります。このことから、平成30年度に策定した「水道施設整備基本計画」と「経営戦略」に基づき、総括原価に基づく料金制度の構築に向けた定期的な見直しをはじめとして、世代間負担の公平性の確保や持続を基本とした継続的な経営改善に向けた取り組みを進めていきます。