経営の健全性・効率性について
累積欠損金は過年度から発生することなく、健全経営を継続しています。経営状況については、給水人口の減少や節水機器の普及、これまでの大口利用者の地下水転換による有収水量の減少により、有収水量は減少しているものの、減価償却の終了した資産が多く減価償却費が少ないことから、経常収支比率は、100%を超えて良好に推移しています。流動比率は、平成28年度に浄水場更新用地の取得などによる資金の減少がありましたが、平成30年度では200%を維持しており、短期的な債務に対する支払能力を確保しています。また、料金回収率については、減価償却費が少ないことから、給水原価が低くなっており、100%を超えています。企業債残高対給水収益比率については、類似団体平均値より高くなっていますが、これは企業債残高は低いものの、水道料金が類似団体と比べると低くなっていることによるものです。
老朽化の状況について
中宮浄水場をはじめ、浄水施設・配水施設については、半数以上が開設後30年以上経過していますが、施設能力の低下を招くことのないよう、適切な維持管理を行っています。特に、昭和40年竣工から50年以上経過した第一浄水施設については、安定した水の供給を継続するために更新事業に着手しています。平成27年度に完了した春日受水場更新、高度浄水施設コントローラ更新、管理棟水質試験棟更新事業などの影響により、有形固定資産減価償却率が減少しましたが、平成28年度以降は施設の老朽化が更新を上回っているため、比率は上昇傾向にあります。管路更新については、鉛管解消と合わせて順次更新しているものの、管路経年化率が、類似団体平均値に比べて高い状況であり、重点的に取り組む必要があります。また、平成30年6月に発生した大阪北部地震の影響により、平成30年度の管路更新率は低くなっています。
全体総括
枚方市では、給水人口が年々減少しています。また、節水型機器の普及に加え、平成26年4月の地下水採取規制の見直しにより、大口利用者を中心に地下水利用専用水道設置が進み、有収水量の減少以上に給水収益が減少しており、その落ち込みは、平成25年10月の料金改定時の予測を上回るものとなっていますが、平成30年度においては、概ね健全経営を維持しています。一方で、今後は、中宮浄水場や老朽化した管路の更新に取り組むと同時に、これに対応するための経営基盤の強化に向けた取り組みも合わせて進めていく必要があります。このことから、平成30年度に策定した「水道施設整備基本計画」と「経営戦略」に基づき、世代間負担の公平性の確保や持続を基本とした継続的な経営改善に向けた取り組みを進めていきます。