経営の健全性・効率性について
累積欠損金は過年度から発生することなく、健全経営を継続しています。経営状況については、平成25年度の会計基準の改定に伴い、資金を伴わない利益が増えています。実態では、給水人口の減少や節水型機器の普及により、有収水量は減少しています。加えて、地下水採取規制の見直しによる、大口需要者の地下水利用専用水道設置への切り替え数は落ちついてきましたが、依然、給水収益の減少が続いていることから、資金の減少傾向が見られます。流動比率は、浄水場更新用地の取得などから資金の減少がありましたが、概ね200%を維持しています。企業債残高の縮減に努めており、短期的な債務に対する支払能力を確保しています。また、料金回収率については、平成26年度から給水原価の算出方法が変更となった影響で、大きく増加しているように見えますが、資金ベースでは、ほぼ100%の実績となっています。平成28年度については、大口需要者の地下水利用専用水道設置に伴う水道水利用減少により供給単価は減少しているものの、高度浄水施設(電気計装設備)の減価償却が終了したことにより給水原価が減少し、料金回収率は回復しています。企業債残高対給水収益比率が類似団体平均より高くなっていますが、平成10年度に高度処理施設を整備したことによるものです。
老朽化の状況について
中宮浄水場をはじめ、浄水施設・配水施設については、半数以上が開設後30年以上経過していますが、施設能力の低下を招くことのないよう、適切な維持管理を行っています。特に、昭和40年竣工から50年以上経過した第一浄水施設については、安定した水の供給を継続するために更新事業に着手しています。平成27年度に完了した春日受水場更新、高度浄水施設コントローラ更新、管理棟水質試験棟更新事業などの影響により、有形固定資産減価償却率が減少しています。管路については、鉛管解消と合わせて順次更新しています。
全体総括
枚方市では、給水人口が年々減少しています。また、節水型機器の普及に加え、平成26年4月の地下水採取規制の見直しにより、大口利用者を中心に地下水利用専用水道設置が進み、有収水量の減少以上に給水収益が減少しており、その落ち込みは、平成25年10月の料金改定時の予測を上回るものとなっていますが、概ね健全経営を維持しています。一方で、今後は施設維持費が増加する見込みであり、施設等の更新や耐震化など各事業にも取り組んでいく必要があります。これを受けて、長期的な経営の安定化に資するため、「経営戦略」の策定に向けて、投資・財源の両面にわたって検討を進めています。