経営の健全性・効率性について
経常収支比率は類似団体・全国平均値と比較すると低いものの、平成29年7月に使用料改定を実施したことや支払利息等の減少から、108.28%まで上がっており、かつ累積欠損金が発生していないことから健全な状況であるといえる。また、経費回収率も100%以上で、類似団体・全国平均値を上回っており、使用料で回収すべき経費を使用料で賄うことができている状況である。流動比率は改善傾向にあるが、変わらず低い状況であり、資金の枯渇を防ぐために一時借入金や資本費平準化債などを発行せざるを得ない状況が続いている。水洗化率は前年度と比較すると変わりないが、水洗化人口を見ると増加しており、今後も引き続き普及啓発に努める。※施設利用率については、晴天時一日平均処理水量÷晴天時現在処理能力で求められるが、晴天時一日平均処理水量については、当該事業で発生した汚水の処理水量が計上されており、晴天時現在処理能力については、当該事業が保有する処理場の能力のみ計上している。本市は処理場を保有しているほか、流域下水道へ接続もしているため、上記数値で施設利用率を求めると100%を超えてしまう。
老朽化の状況について
管渠老朽化率については、類似団体平均値や全国平均値より低い数値であり、他団体と比べると老朽化は進んでいない。ただし、本市の下水道事業の普及率は76.29%であるため、コストキャップ型下水道の実施等により引き続き普及拡大に努める。管渠以外のポンプ場や処理場といった施設については老朽化が進んでいるため、施設更新や長寿命化対策を行っていく必要がある。
全体総括
持続可能な下水道事業の運営のため、経営戦略の投資計画に基づき、下水道未普及対策事業や施設の長寿命化対策など合理的な設備投資の実施に努める。財政計画としては、平成29年7月に使用料改定を実施し、適正な水準への引き上げを行った。今後の設備投資への財源確保に向け、事業の効率化やコストの低減に努め、財政状態の健全性を高めていく。本市は平成31年3月に経営戦略を見直し、これまでの取り組みの分析評価等の検証を行い、その結果を踏まえ改めて投資・財政計画の試算を行った。今後も、将来の投資と財源を適切に把握した投資計画と財政計画の均衡を図りながら、事業の効率化・経営健全化に向けた取り組みを進めていく。