経営の健全性・効率性について
経営の健全性については、①経常収支比率及び⑤料金回収率が平均的な水準を下回っているものの、ともに100%を超えていることから、収益性は確保されている。②累積欠損金比率については、近年、累積欠損金が発生しておらず、経営の健全性は確保されている。また、④企業債残高対給水収益比率については、これまで平均的な水準であったが、施設の耐震化等による大規模改良の実施に伴い、今後、企業債残高はやや増える傾向にある。③流動比率については、100%を超えており、かつ、現金預金の比率が高いため、短期債務に対する支払能力も良好である。効率性については、⑦施設利用率が約50%と平均値より低くなっているものの、複数水源のバランスを考慮した運用により、渇水等にも安定供給が可能な施設となっている。また、⑧契約率は、平均値より高く、令和2年度は約89%となり微増の傾向にあることから、安定した収益に繋がっていると考えられる。なお、⑥給水原価が平均値より高くなっているのは、使用水量と契約水量に乖離があり、施設利用率が低いためである。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、類似団体の平均値より高く推移してきたが、令和元年度以降は減少し、令和2年度は類似団体の平均値を下回っている。これは、近年、浄水場の耐震化等の複数年工事が多く、供用開始まで建設仮勘定としてきたものを、令和元年度以降、順次供用開始し、本勘定に振替えたことによる。②管路経年化率の伸びについては、布設年度の古い管路施設が、順次、法定耐用年数を迎えてきていることを示すものである。③管路更新率は、類似団体の平均値と同様に低い値となっている。これは、厚生労働省が示す実使用年数を考慮し、老朽化の程度や使用条件等を考慮して管路の更新を進めていることにより、法定耐用年数よりも更新の周期が長くなっていることによる。今後も、経営計画に基づき、老朽管路等の施設更新や耐震化を計画的に進めていく。
全体総括
上記動向をもとに総合的に判断すると、今後も概ね現行の状態が維持できると考えられ、経営に大きな影響を与える要因は認められないため、安定した経営が継続できると考えられる。今後、耐用年数を迎える施設は増加してくることから、施設の長寿命化等によるライフサイクルコストの低減など更なる費用の削減を図りながら、アセットマネジメント等により長期の収支バランスを勘案した計画的な施設改良に取り組むことで、将来にわたり「安全・安定」供給に努める必要がある。