経営の健全性・効率性について
■経営の健全性①経常収支比率は、100%以上で推移しており、類似団体平均値と比較して良好な数値となっています。②累積欠損金比率については、平成29年度においても発生していません。③流動比率は385.79%となっており、負債に対して約3.9倍の資産を保有しています。④企業債残高対給水収益比率は、平成20年度以降企業債の借り入れを行っておらず、年々減少しています。平成29年度末は類似団体平均値258.63%に対して42.38%と、約6分の1の値となっています。⑤料金回収率は、100%以上で推移しており、水道料金収入で費用を賄えているといえます。■経営の効率性⑥給水原価は、平成26年度以降横ばい状態が続いており、類似団体と比較してわずかに平均値を下回っています。費用内訳を見ると、県営水道からの水の購入費、施設の減価償却費など固定的な費用が約8割を占めています。⑦施設利用率は、70%台で推移しており、類似団体平均値を上回っています。⑧有収率は、94%台で推移しており、類似団体平均値を上回っています。★総括★平成29年度においても黒字経営となり、資金的にも余裕があり支払い能力も高いといえます。類似団体と比較しても全ての項目で平均値に対して良好な数値を示しており、経営の健全性・効率性はともに良好であると判断できます。
老朽化の状況について
■施設全体の減価償却の状況①有形固定資産減価償却率は、類似団体平均値を下回っていますが、年々上昇しています。■管路の経年化の状況②管路経年化率は、年々上昇傾向でしたが、平成29年度においては、類似団体平均値を大幅に上回りました。これは、事業開始年度(昭和50年)頃に布設した水道管が多く、それらが法定耐用年数を迎えるためです。同時期に布設した水道管が多いことから、この数値は今後も上昇することが見込まれます。■管路の更新投資の実施状況③管路更新率は、大幅に減少しました。この要因の一つとして、現在大規模な送水管布設替工事を債務負担で行っており、平成29年度は準備工事期間にあたるため、管路更新率が伸びなかったことが挙げられます。★総括★減価償却率及び管路経年化率は類似団体でも年々上昇傾向にありますが、本企業団においてもその数値は上昇しており、今後も上昇が見込まれます。なお、法定耐用年数は一応の目安であり、管路の埋設状況等により実質的な耐用年数は変動します。
全体総括
現状の分析において、財政面の健全性は確保されているといえますが、管路については、今後老朽化が進み、安定的な水の供給に支障をきたすおそれがあります。施設更新費用の増大に伴う財源の確保は、水道料金収入や企業債の借入れに頼らざるを得ませんが、安易な料金値上げや借入れはできません。現在、「第1次水道施設整備計画」(平成23年度~平成32年度)に基づき、現行水道料金水準を維持しながら財政の健全性確保に重点を置いて、重要度、緊急度の高い施設を優先的に整備を進めています。平成33年度以降の次期整備計画では、水需要の予測を行い、財政と施設双方の健全性を高めるため、アセットマネジメントなどの手法を用いながら施設の更新サイクルや管路耐震化等の検討をしています。さらに水道料金水準の見直しや企業債借入れの検討も行い、「安全」・「強靭」・「持続」はもとより、より効率的かつ効果的な事業運営を目指すための経営戦略を平成32年度を目途に策定中です。