経営の健全性・効率性について
■経営の健全性①経常収支比率は、100%以上で推移しており、類似団体平均値と比べて良好な数値となっています。②累積欠損金は、平成28年度においても発生していません。③流動比率は、平成28年度末で364.05%となり、負債に対して約3.6倍の資産を保有しています。④企業債残高対給水収益比率は、平成20年度以降企業債の借入れを行っていないため徐々に減少しており、平成28年度末で48.50%、類似団体平均値266.66%と比べて約1/5の値となっています。⑤料金回収率は、100%以上で推移しており、水道料金収入で費用を賄えているといえます。■経営の効率性⑥給水原価は、平成26年度以降横ばい状態が続いており、類似団体平均値並みとなっています。費用内訳をみると、県営水道からの水の購入費、施設の減価償却費で約8割を占めています。今後、自己水源施設停止に伴い、県営水道からの水の購入費が増加していくと考えられます。⑦施設利用率は、70%台で推移しており、類似団体平均値を上回っています。⑧有収率は、94%前後で推移しており、類似団体平均値を上回っています。★総括★平成28年度も黒字経営となり、累積欠損金も発生しておりません。また、企業債や給水にかかる費用についても給水収益で十分に賄えており、資金的に余裕があるといえます。施設利用率や有収率については、類似団体と比較して効率的な数値となっており、経営の健全性・効率性はともに良好であるといえます。
老朽化の状況について
■施設全体の減価償却の状況①有形固定資産減価償却率は、類似団体平均値を下回っていますが、年々高くなる傾向にあります。■管路の経年化の状況②管路経年化率は、類似団体平均値を僅かに下回っています。今後、創設期に布設した管路が耐用年数を迎えることから、経年化率は高くなる見込みです。■管路の更新投資の実施状況③管路更新率は、類似団体平均値を上回っています。老朽管更新や基幹管路の耐震化等に伴う布設替工事を行っており、特に配水管の更新管路延長が大きく伸びたことから、前年度より上昇しています。★総括★減価償却率、管路経年化率からみた施設全体の老朽度は、それほど高くはありませんが、今後施設の老朽度は上昇する見込みです。引き続き、管路更新率を上昇させるために、管路の老朽化対策を講じる必要があるといえます。なお、法定耐用年数40年は一応の目安であり、管路の埋設状況等により実質的な耐用年数は変動します。
全体総括
現状の分析において、財政面の健全性は確保されているといえますが、施設については、今後老朽化が進み、安定的な水の供給に支障をきたすおそれがあります。施設更新費用の増大に伴う財源の確保は、水道料金収入や企業債の借入れに求めざるを得ませんが、安易な料金値上げ、借入れはできません。引き続き「第1次水道施設整備計画」(平成23年度~平成32年度)に基づき、現行料金水準を維持しながら財政の健全性を確保し、中でも管路耐震化や老朽管路の更新に重点を置いて、重要度、緊急度の高い施設を優先的に整備を進めていきます。平成33年度以降の次期整備計画策定にあたっては、水需要の予測を行い、財政の健全度と施設の健全度の均衡を図るため、アセットマネジメントなどの手法を用いて、施設全体の更新需要を把握し、施設の更新サイクルや管路耐震化等の検討と併せて、水道料金水準の見直しや企業債借入れの検討を進めていきます。また、経営戦略については、平成32年度までに策定予定です。