経営の健全性・効率性について
④企業債残高対事業規模比率は、事業規模と比べて企業債残高の割合が高く、類似団体・全国平均に比べ、企業債を主な投資財源としていることが現状である。このため、企業債借入に伴う支払利息の負担割合が高く、⑥汚水処理原価が類似団体・全国平均より高くなっている要因の一つである。今後新規の企業債借入額は原則として償還額の範囲内とすることにより、企業債残高の削減に一層努めたい。また、⑧水洗化率は新規接続の増加のため前年度に比べ上昇したが、類似団体・全国平均より低いため、今後も接続PRなどにより水洗化率向上に努めたい。①経常収支比率は、一般会計からの繰入金の減少により、経常収益が対前年度12.1%減となり、当年度未処理欠損金が発生した。今後も水洗化率を向上させ、下水道使用料の増に努めるとともに、経費節減による経常費用の削減に努め未処理欠損金を減らしたい。なお、公費負担分を考慮しない経費回収率は約46%と、全経費を下水道使用料で賄えておらず、不足分の約54%を一般会計から繰り入れている現状である。今後は、水洗化率の向上、投資規模・料金水準の見直しを行い、事業運営をする必要がある。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、類似団体・全国平均に比べ低く、比較的新しい管渠であるのが分かる。しかし、将来の管渠更新に備えるため、ストックマネジメント計画等の更新計画の策定、更新財源の確保について検討していく必要がある。
全体総括
持続可能な事業運営を行うため、整備区域を縮小し、実現可能な「稲沢市汚水適正処理構想」へ見直しを行い、事業を進めている。また、平成28年度に「稲沢市汚水適正処理構想」に基づいた「稲沢市公共下水道事業経営戦略」を策定した。なお、経営戦略における収支計画は、毎年度進捗管理を行い、必要に応じ収支計画を見直し、公共下水道整備概成後(平成37年度)に全てを見直す。今後は、「稲沢市汚水適正処理構想」及び「稲沢市公共下水道事業経営戦略」に基づき、事業費の見通し、料金水準の見直し等を検討し、事業運営を行っていく。