経営の健全性・効率性について
当市下水道事業は、令和2年度より地方公営企業法の全部適用をして、今回より新たな基準での経営比較分析表を作成しているため、令和元年度以前の指標については記載していない。①経常収支比率は100%を超え、②累積欠損金比率は0%となっているが、これは一般会計からの赤字補てんの補助金が要因であるので、使用料体系の改定などにより、補助金に頼らない経営改善が必要である。③流動比率が平均値よりも低いのは、企業債償還のための負債が多く計上されていることが主要因だと考えられるため、企業債発行の抑制が必要である。④企業債残高対事業規模比率は平均値より高いが、これは令和7年度までに新規整備を完了することを計画目標としており、しばらくは設備投資のための企業債発行が続くことが要因だが、その後は、償還が進むにつれ比率も減少していくと考えられる。⑤経費回収率は平均値より低いが、令和2年10月に使用料の改定を行ったため、今後は当該値の向上が見込まれる。令和4年4月にも使用料の改定を行うが、今後も使用料の適正化が必要である。⑥汚水処理原価は、前年度と同様に、汚水処理費(ストックマネジメント管渠点検調査業務)に対し国庫補助金を充当したため、その分、分流式下水道等に要する経費に対する基準内繰入金が減少した。⑦施設利用率については、流域下水道に接続しているため、汚水処理場は有していない。⑧水洗化率については、新型コロナウイルスの蔓延防止に配慮しつつも、街頭での宣伝活動などの地道な接続促進活動を行ったが平均値を若干下回った。今後も戸別訪問などによる粘り強い活動を通じて、下水道への接続促進を図る必要がある。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、令和2年度から地方公営企業法の規定の全部を適用し、減価償却した累計額が少ないため低い率となっている。②管渠老朽化率は、公共下水道事業は平成4年度に供用開始しており、事業開始から50年が経過していないため計上されていない。③管渠改善率は、比較的整備時期が新しく、管渠については、現在も主に新設工事を行っている状況であることから、対象となる数値が含まれないという状況になっているが、今後、ストックマネジメント計画に基づいた管更生や長寿命化対策などを実施していく予定である。
全体総括
平成23年度の1市3町合併により、総じて経営状況は悪化したが、平成24年度に高利の企業債を繰上償還し、低利に借換するなど経営改善に努めたことで、近年は改善傾向にある。しかし、依然として平均値を下回る指標もあり、今後訪れる人口減少社会、管渠の大量更新等に対応するには、非常に厳しい経営環境にあることは明らかである。こうした中、平成30年度には、市民や学識経験者で構成する西尾市上下水道事業審議会より、下水道事業整備区域の見直しと下水道使用料体系の改定について答申があり、その答申に沿った区域の整備と令和2年10月に使用料改定を行ったところである。また、使用料については令和4年4月にも改定を行い、さらなる経営の改善に努めていくこととしている。さらに、将来にわたって下水道事業を持続的かつ安定的に経営することを目的として、令和2年4月に経営戦略を策定・公表しており、策定5年後の令和7年度を目途に見直しを行う予定である。