経営の健全性・効率性について
給水収益や一般会計からの繰入金等の収益で、維持管理費や支払利息等の費用をどの程度賄えているかを表す経常収支比率は、110.11%です。この指標は100%以上の場合、単年度の収支が黒字であることを示すもので、全国平均を2.92%、類似団体平均を4.33%下回っています。また、給水に係る費用が、どの程度給水収益で賄えているかを表す料金回収率は、104.74%です。この指標は100%以下の場合、給水に係る費用が給水収益以外の収入で賄われていることを意味しており、全国平均を0.14%上回り、類似団体平均は3.00%下回っています。前年度比は、経常収支比率が4.62%、料金回収率が5.71%と、ともに上昇しています。有収水量1㎥あたりについて、どれだけの費用がかかっているかを表す給水原価は137.12円であり、全国平均を27.09円、類似団体平均を17.21円下回っています。平成26年度は、会計制度の見直しに伴い非現金収入である長期前受金戻入が収益化されることとなり、各指標に与える影響を考慮する点もありますが、短期的な債務に対する支払能力を表す流動比率が100%を大幅に上回っている状況から更新投資等に充てる財源は確保されており、平成26年4月より水道料金の値下げをしておりますが、安定した事業運営ができていると判断できます。1日配水能力に対する1日平均配水量の割合であり、施設の利用状況や適正規模を判断する施設利用率は68.03%です。この指標に明確な数値基準はありませんが、一般的には高い数値であることが望まれています。全国平均を8.23%、類似団体平均を4.78%とそれぞれ上回っておりますが、経年比較すると前年度より0.42%、過去5年間で1.09%減少しています。水道事業の性質上、季節によって需要に変動があるため最大稼働率、負荷率を併せて分析する必要があります。平成26年度の最大稼働率は90.87%、負荷率は74.86%であり、安定供給が図れている状態で、適切な施設規模であると判断できます。また、施設の稼動が収益につながっているかを判断する有収率は92.44%であり、全国平均を2.66%、類似団体平均を1.37%と、それぞれ上回っています。全国平均や類似団体平均を上回っているものの、経年比較すると、前年度比0.37%、過去5年間で0.63%減少しています。その要因として、配水管工事に伴う洗管作業や、メーター不感、漏水等が推測され、計画的な管路更新により漏水量の減少を図る等対策を講じる必要があります。
老朽化の状況について
法定耐用年数を超えた管路延長の割合を表す管路経年化率は5.17%であり、全国平均を7.25%、類似団体平均を9.37%と、それぞれ下回っています。当該年度に更新した管路延長の割合を表す管路更新率は0.40%であり、全国平均を0.38%、類似団体平均を0.29%と、それぞれ下回っています。管路経年化率や管路更新率には明確な数値基準はないと考えられており、全国平均や類似団体平均と比較して、管路経年化率及び管路更新率は低い状態となっています。平成26年度においては、知多配水場老朽化更新を始め、施設の老朽化・耐震化に伴う更新投資を主に進めてきた結果、管路経年化率は前年度より0.62%上昇し、管路更新率は前年度より0.26%減少しています。また、有形固定資産のうち償却対象資産の減価償却がどの程度進んでいるかを表す有形固定資産減価償却率は47.60%であり、全国平均を1.29%上回っていますが、類似団体平均は0.1%下回っています。一般的に、数値が100%に近いほど、保有資産が法定耐用年数に近づいていることを示しており、将来の施設の更新等の必要性を推測することができる指標です。現状では、早急に対策が必要な程度ではないと判断しますが、今後、高度経済成長期に埋設した配水管が、順次、法定耐用年数を迎えることから、管路等の更新投資を計画的に進める必要があります。
全体総括
経常収支比率は全国平均、類似団体平均を下回っています。管路更新率も全国平均、類似団体平均を下回っていますが、中長期財政計画及び施設整備計画のもと計画的に更新投資は行われており、現状では、財政・投資の両面から見ても健全性は維持されている状況です。しかし、将来人口は減少していくことが予測されており、節水機器の普及や節水意識の向上により水道料金収入は減少傾向にあるという認識に立ち、費用の削減による経営改善や適正な施設規模、有収率の向上を図るための管路や施設の更新について検討し、さらに、健全経営の観点から、将来住民に負担を与えず、安全で安心な水を安定的に供給していけるよう、適切な財政計画・投資計画を立てていく必要があります。