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令和4年度は前年度と同水準となっている。これは、財政力指数は3か年平均の数値であるため、令和4年度と令和元年度の単年度数値を比較すると、基準財政収入額が、地方消費税交付金の消費税率10%への引上げ影響平年度化等により増加したものの、基準財政需要額が少子高齢化の進展等による社会福祉費や高齢者保健福祉費の増加等により増となったことによる。基準財政需要額の規模に対して、財源不足額が相対的に少ないため、財政力指数は1.00を下回っているものの、類似団体内平均値を上回る状況にある。
令和4年度の経常収支比率は、普通交付税や臨時財政対策債などの一般財源が減少したことに加えて、扶助費、医療・介護に係る特別会計への繰出金や市有施設の光熱費を始めとした物件費などの経常的経費充当一般財源が増加したことにより、前年度に比べて2.7ポイント増の97.8%となり、依然として高い水準にある。これは、少子高齢化の進展や社会保障施策の拡充に伴い保育や障害福祉、医療などへの支出割合が高まっていることや、過去の整備に伴う元利償還である公債費への支出割合が高止まりしていることなど社会構造、都市構造の変化を主な要因とするものであり、成熟度の高い都市の特徴であると考えられる。
令和4年度の人口一人当たり人件費・物件費等決算額は、期末勤勉手当や共済組合負担金の増などにより人件費が、自宅療養者配食サービスやナゴヤ応援寄附金募集経費の増などにより物件費がそれぞれ増加し、前年度に比べて5,722円増加した。なお、本市において人件費については、定員管理の方針に基づき、計画的に職員数の見直しなどを行っており、物件費等については、内部管理事務経費や施設の維持管理費を精査することなどにより、経費の削減に努めている。
平成28年4月1日から国に準じ給与制度の総合的見直しを実施し、本市においては給料表の水準の平均4.5%の引下げ及び国と同率の地域手当の支給割合の見直し等に取組んだ後は、人員構成や給与改定の差異の影響はあるものの、ほぼ横ばいで推移している。
平成28年3月に策定した「平成29~31年度定員管理の方針」に基づき、平成28年度職員数に対し、平成31年度当初までに100人程度の純減(公営企業及び県から移管された小中学校等の教職員等を除く)する目標は達成した。しかし、人口当たり職員数は類似団体内平均値を上回っており、これは市立教育機関や保育所等の直営福祉施設の差が主な要因であると考えられる。現在は「令和2~6年度定員管理の方針」に基づき、令和元年度職員数に対し、100人以上の純減(公営企業を除く)を目指し、引き続き施設の民営化や業務の委託化等を進め、定員の再配分を積極的に行うことにより、効率的・効果的な行政運営に努めている。なお、令和2年度に人口千人あたり職員数が増加した主な要因は、東部・西部医療センターの名古屋市立大学医学部附属病院化による病院局(公営企業)廃止に伴い、名古屋市立大学病院への派遣職員数(普通会計内)が1,177人増加したためである。
令和4年度の実質公債費比率は、類似団体内平均値と同じ数値だが、前年度と比べて0.4ポイント減少している。これは、実質公債費比率は3か年平均の指標であるため令和4年度と令和元年度決算を比較すると、分子となる元利償還金が減少していることに加え、分母となる標準財政規模が、標準税収入額等の増などにより増加したことによる。今後も世代間の負担の公平に配慮しつつ、将来世代に過度な負担を残さないよう、計画的な財政運営に努める。
令和4年度の将来負担比率は、類似団体内平均値と比べて21ポイント高いが、前年度と比べて5.6ポイント減少している。これは、分母となる標準財政規模が、臨時財政対策債発行可能額の減などにより減少したが、充当可能基金の増加などにより充当可能財源額等が増加したことにより分子が減少したため、比率としては低下している。今後も世代間の負担の公平に配慮しつつ、将来世代に過度な負担を残さないよう、計画的な財政運営に努める。
人件費については、定員管理の方針に基づき、計画的に職員数の見直しなどを行っているが、令和4年度は、期末勤勉手当や共済組合負担金の増などにより、人件費は増加した。また、普通交付税や臨時財政対策債の減などにより経常一般財源等も減少したことから、前年度に比べて0.9ポイント増加し、32.3%となった。また、次頁の人件費及び人件費に準ずる費用の人口1人当たりの歳出決算額は、依然として類似団体内平均値を上回っている。その理由及び分析については、(3)市町村財政比較表の「定員管理の状況」分析欄を参照。
令和4年度の物件費に係る経常収支比率は10.9%で、市有施設の光熱費の増などにより、前年度と比べて0.3ポイント増加したが、類似団体内平均値と比べて低い水準を維持している。これは施設運営の効率化や光熱水費の削減などに努めてきた結果であると考えられる。
令和4年度の扶助費に係る経常収支比率は18.0%と類似団体平均値と比べて高い水準にある。障害者福祉施策や児童福祉施策に係る経費が増加傾向にあることから増加しており、令和4年度も引き続き高い水準にある。
令和4年度のその他の経費に係る経常収支比率は11.2%で、その他の経費のうち後期高齢者医療特別会計や介護保険特別会計への繰出金が増加したことなどにより前年度から0.6ポイント増加し、類似団体内平均値と同程度となった。
令和4年度の補助費等に係る経常収支比率は8.9%で、地下鉄特例債元金償還補助金の減などにより前年度と比べて0.1ポイント減少した。類似団体内平均値と比べて高い水準にあるが、これは下水道や交通事業を始めとした公営企業などへの繰出が多額になっていること及び名古屋港を管理する一部事務組合を設置し、負担金を支出していることが主な要因であると考えられる。
令和4年度の公債費に係る経常収支比率は16.5%で、類似団体内平均値と比べて低い水準で推移している。公債費は同程度で推移したが、経常一般財源等が減少したことなどにより、前年度から0.3ポイント増加している。
令和4年度の公債費以外の経費に係る経常収支比率は、普通交付税や臨時財政対策債の減などにより経常一般財源等が減少し、前年度より2.4ポイント増加した。本市は類似団体内平均値と比べて高い水準にあり、これは少子高齢化の進展や社会保障施策の拡充に伴い保育や障害福祉、医療などへの支出割合が高まっていることなど、社会構造、都市構造の変化を主な要因とするものであり、成熟度の高い都市の特徴であると考えられる。
(増減理由)財政調整基金やその他特定目的基金の大規模施設整備積立基金、アジア・アジアパラ競技大会基金へ積立てをしたことなどにより、基金全体の残高は前年度に比べて約320億円増加した。(今後の方針)各基金の設置目的に基づき、事業の進捗に応じて毎年度の予算編成において積立て及び取崩しの検討を行っていく。
(増減理由)一般会計歳計剰余金の基金編入や今後の財政需要に対応するための積立てなどにより、財政調整基金残高は約170億円増加した。(今後の方針)財政規律で定めた「財政調整基金の積立額100億円を目指す」という目標を念頭に置き、長期的な視点に立った健全な財政運営に努めていく。
(増減理由)基金運用益の積立により、減債基金は前年度と比べて約4億円増加している。(今後の方針)各年度の公債の償還の財源に充てるために必要な積立て及び取崩しを行っていく。
(基金の使途)大規模施設整備積立基金:大規模な施設の整備を推進するための資金リニア関連名古屋駅周辺地区まちづくり基金:リニア中央新幹線開業に関連する名古屋駅周辺地区まちづくり等を推進するための資金アジア・アジアパラ競技大会基金:第20回アジア競技大会及び第5回アジアパラ競技大会開催のための資金市営住宅等管理運営等基金:市営住宅等持続的かつ安定的な管理運営及び徴収した敷金の管理のための資金国際交流事業積立基金:国際交流事業を推進するための資金(増減理由)大規模施設整備積立基金は今後増加が想定される大規模な施設整備の財源とするため、積立てを行ったこと等により、令和4年度の基金残高は前年度と比べて約148億円増加した。アジア・アジアパラ競技大会基金は令和8年度の大会を開催する資金に充てるため、積立てを行ったこと等により、令和4年度の基金残高は前年度と比べて約20億円増加した。(今後の方針)リニア関連名古屋駅周辺地区まちづくり基金は令和9年以降とされているリニア中央新幹線開業に向けたまちづくりの推進を着実に図るため、それまでの間に取崩し額の増加が見込まれる。アジア・アジアパラ競技大会基金は、大会運営費など主催者負担軽費の財政負担を平準化するため、今後更なる積立てを進め、令和8年度の第20回アジア競技大会及び第5回アジアパラ競技大会の開催に向け、全額を取り崩す予定である。大規模施設整備積立基金は、今後の大規模な投資に対応するため、取崩し額の増加が見込まれる。
本市の公共施設は、市設建築物については昭和40年代から60年代を中心に、公共土木施設(道路・橋りょう等)については昭和30年代から集中的に整備してきた結果、築年数の経過により有形固定資産減価償却率が高い状況となっている。そのため、現在、市設建築物については、従来の築40年程度での改築から、建築物の構造体の耐久性に応じて築60年から80年程度へと長寿命化を進めている。また、公共土木施設である道路及び橋りょうについても、計画的な点検に基づき補修等を実施することにより長寿命化を進めている。
債務償還比率は類似団体内で比較して平均的な数値となっている。今後も世代間の負担の公平に配慮しつつ、将来世代に過度な負担を残さないよう、計画的な財政運営に努める。
将来負担比率及び有形固定資産減価償却率ともに、類似団体内平均と比べ高い水準にある。将来負担比率については、地方債の償還が新規発行を上回ってきたこと等により減少傾向にある一方で、有形固定資産減価償却率は上昇傾向にある。これの主な要因としては、市設建築物については昭和40年代から60年代を中心に、公共土木施設(道路・橋りょう等)については昭和30年代から集中的に整備してきた結果、築年数の年数の経過によるものである。現在、市設建築物については、従来の築40年程度での改築から、建築物の構造体の耐久性に応じて築60年から80年程度へと長寿命化を進めており、必要な対策は実施できるよう努めていく。
将来負担比率及び実質公債費比率ともに、類似団体内平均値と比べ高い水準にある。将来負担比率については、地方債の償還が新規発行を上回ってきたこと等により減少傾向にある。また実質公債費比率については、臨時財政対策債発行可能額の増により分母となる標準財政規模が増加したことに加え、分子となる地方債の元利償還金が減少したこと等により、減少傾向にある。予算編成にあたり作成している中期的な財政見通しでは、今後は地方債元利償還が増加すると見込んでいることから、世代間の負担の公平に配慮しつつ、将来世代に過度な負担を残さないよう、計画的な財政運営に努める。
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