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平成30年度の財政力指数は、地方税の増などにより基準財政収入額が増加傾向にあるものの、社会保障関係経費の増などにより基準財政需要額も増加傾向にあるため、前年度並となっている。指数は1.00を下回っているものの、類似団体内平均値を上回っている。
平成30年度の経常収支比率は、個人市民税が増加したことなどにより前年度に比べて1.2ポイント減少し、98.0%となったが、依然として高い水準にある。これは、都市基盤整備の進捗に伴い新規の投資的経費の支出割合が低くなっている一方で、過去の整備に伴う元利償還である公債費への支出割合が高止まりとなっていることや、少子高齢化の進展や社会保障施策の拡充に伴い保育や障害福祉、医療などへの支出割合が高まっていることなど、社会構造、都市構造の変化を主な要因とするものであり、成熟度の高い都市の特徴であると考えられる。
平成30年度の人口1人当たり人件費・物件費等決算額は、税務総合情報システムの再構築に要する経費が増加したことにより物件費などが増加し、前年度に比べて1,232円増加した。なお本市において、人件費については、定員管理の方針に基づき、計画的に職員数の見直しなどを行っており、物件費等については、内部管理事務経費や施設の維持管理費を精査することなどにより、経費の削減に努めている。
平成26年3月31日までの本市独自の給料削減措置の終了により、平成26年度(平成27年4月1日現在)のラスパイレス指数が上昇したものと考えられる。平成28年4月1日から国に準じ給与制度の総合的見直しを実施し、本市においては給料表の水準の平均4.5%の引下げ及び国と同率の地域手当の支給割合の見直し等に取り組んだ結果、平成27年度(平成28年4月1日現在)のラスパイレス指数が下降したものと考えられる。
平成28年度から人口千人あたり職員数が増加した主な要因は、平成29年4月1日に県から本市に小中学校等の教職員9,636人が移管されたためである。小中学校等の教職員の移管という特殊事情を除いた部分については、平成28年3月に策定した「平成29~31年度定員管理の方針」に基づき事務の集約化や施設のあり方の見直し、事務の委託化・嘱託化等により職員数を見直し、必要度・重要度のより高い事務事業へ重点的に職員を配置しているが、人口当たり職員数は類似団体内平均値を上回っている。これは市立教育機関や保育所等の直営福祉施設の差が主な要因であると考えられる。同方針で掲げていた平成28年度職員数に対し、平成31年度当初までに100人程度の純減(公営企業及び県から移管された小中学校等の教職員等を除く)は達成した。今後は「令和2~6年度定員管理の方針」に基づき、令和元年度職員数に対し、100人以上の純減(公営企業を除く)を目指し、施設の民営化や業務の委託化等を進め、定員の再配分を積極的に行うことにより、効率的・効果的な行政運営に努める。
平成30年度の実質公債費比率は、類似団体内平均値と比べて1.4ポイント高いが、前年度と比べて1.1ポイント減少している。これは、地方債の元利及び準元利償還金が減少したことや、標準財政規模が増加したことなどによる。今後も世代間の負担の公平に配慮しつつ、将来世代に過度な負担を残さないよう、計画的な財政運営に努める。
平成30年度の将来負担比率は、類似団体内平均値と比べて20.6ポイント高いが、前年度と比べて6.8ポイント減少している。これは、地方債現在高が減少したことや、事業用地の買戻し等により設立法人の負債額等負担見込額が減少したことなどによる。今後も世代間の負担の公平に配慮しつつ、将来世代に過度な負担を残さないよう、計画的な財政運営に努める。
人件費については、定員管理の方針に基づき、計画的に職員数の見直しなどを行っているが、平成28年度は、発達障害対応支援員の拡充などにより増加した。平成29年度は、県が負担していた義務教育等に係る教職員の給与等を本市が負担することになったことなどにより増加した。平成30年度は、前年度に比べて0.3ポイント減少し、32.0%となった。また、次頁の人件費及び人件費に準ずる費用の人口1人当たりの歳出決算額は、依然として類似団体内平均値を上回っている。その理由及び分析については、(3)市町村財政比較表の「定員管理の状況」分析欄を参照。
平成30年度の物件費に係る経常収支比率は10.3%で、前年度と比べて0.3ポイント減少している。平成29年度は、県費負担教職員に係る給与負担等が本市へ移譲されたことに伴い経常一般財源等が増加したため10.6%となった。また、平成26年度以降は11.0%前後で推移しており、類似団体内平均値と比べて低い水準を維持している。これは施設運営の効率化や光熱水費の削減などに努めてきた結果であると考えられる。
平成30年度の扶助費に係る経常収支比率は16.7%と類似団体内平均値と比べて高い水準にある。平成29年度は、県費負担教職員に係る給与負担等が本市へ移譲されたことに伴う経常一般財源等が増加したことなどにより1.3ポイント減少したものの、平成30年度は、障害者福祉施策に係る経費や児童福祉施策に係る経費が増加したことなどにより、前年度に比べて0.4ポイント増加した。
平成30年度のその他の経費に係る経常収支比率は10.7%で、前年度から0.1ポイント減少し、類似団体内平均値を下回った。これは、維持補修に係る経費は増加したものの、それ以上に市税などの経常一般財源等が増加したことなどによる。
平成30年度の補助費等に係る経常収支比率は10.9%で、前年度と比べて0.6ポイント減少している。これは地下鉄特例債元金償還補助金が減少したことなどによるものである。また、類似団体内平均値と比べて高い水準にある。これは公営企業などへの繰出が多額になっていること及び名古屋港を管理する一部事務組合を設置し、負担金を支出していることが主な要因であると考えられる。
平成30年度の公債費に係る経常収支比率は17.4%で、類似団体内平均値と比べて低い水準を維持している。また、前年度から0.3ポイント減少しているが、これは平成26年度以降、利率の低下に伴い利子支払額が減少したことが主な要因であると考えられる。今後も地方債発行にあたり、実質公債費比率や地方債現在高等に注視しながら、将来世代に過度の負担を残さないように十分留意する必要がある。
公債費以外に係る経常収支比率は、平成27年度は県税交付金などの経常一般財源等の増加により76.7%と平成26年度から1.1ポイント減少しているが、平成28年度は県税交付金などが減少したため、2.4ポイント増加した。平成29年度は、県が負担していた義務教育等に係る教職員の給与等を本市が負担することになったことなどの影響により、2.4ポイント増加した。平成30年度については、市税などが増加したため、0.9ポイント減少し、80.6%となった。しかし、依然として、類似団体内平均値と比べて高い水準にある。これは、人件費、扶助費及び補助費等が類似団体内平均値と比べて高いためである。※人件費、扶助費及び補助費等の分析欄を参照
(増減理由)財政調整基金の残高が増加したことや、その他特定目的基金の子ども・親総合支援基金及びアセットマネジメント基金を設置したことなどにより、基金全体の残高は前年度に比べて約33億円増加している。(今後の方針)各基金の設置目的に基づき、事業の進捗に応じて毎年度の予算編成において積立て及び取崩しの検討を行っていく。
(増減理由)一般会計決算剰余金の基金編入等により、財政調整基金残高は約10億円増加している、(今後の方針)財政規律で定めた「財政調整基金の積立額100億円を目指す」という目標を念頭に置き、長期的な視点に立った健全な財政運営に努めていく。
(増減理由)市債償還財源繰出のための取崩しにより、減債基金残高は前年度と比べて約6億円減少している。(今後の方針)各年度の公債の償還の財源に充てるために必要な積立て及び取崩しを行っていく。
(基金の使途)住宅敷金積立基金:市営住宅等の住宅敷金を管理するための資金子ども・親総合支援基金:子ども・親総合支援を推進するための資金国際交流事業積立基金:国際交流事業を推進するための資金アセットマネジメント基金:アセットマネジメントを推進するための資金震災対策事業基金:震災対策事業を推進するための資金(増減理由)子ども・親総合支援基金及びアセットマネジメント基金は平成30年度に設置したことにより、皆増している。震災対策事業基金は、震災対策実施計画に基づいた事業の進捗に伴う財源繰出のための取崩し等により、平成30年度の基金残高は前年度と比べて約9億円減少している。(今後の方針)各基金の設置目的に基づき、事業の進捗に応じて毎年度の予算編成において積立て及び取崩しの検討を行っていく。
本市の公共施設については、市設建築物については昭和40年代から60年代を中心に、公共土木施設(道路・橋りょう等)については昭和30年代から集中的に整備してきた結果、施設の年数の経過により有形固定資産減価償却率が高い状況となっている。そのため、現在、市設建築物については、従来の築40年程度での改築から、建築物の構造体の耐久性に応じて築60年から80年程度へと長寿命化を進めている。また、公共土木施設である道路及び橋りょうについても、計画的な点検に基づき補修等を実施することにより長寿命化を進めている。
債務償還比率は類似団体内で比較して平均的な数値となっている。今後も世代間の負担の公平に配慮しつつ、将来世代に過度な負担を残さないよう、計画的な財政運営に努める。
将来負担比率及び有形固定資産減価償却率ともに、類似団体内平均と比べ高い水準にある。将来負担比率については、地方債の償還が新規発行を上回ってきたこと等により減少傾向にある一方で、有形固定資産減価償却率は上昇傾向にある。これの主な要因としては、市設建築物については昭和40年代から60年代を中心に、公共土木施設(道路・橋りょう等)については昭和30年代から集中的に整備してきた結果、施設の年数の経過によるものである。現在、市設建築物については、従来の築40年程度での改築から、建築物の構造体の耐久性に応じて築60年から80年程度へと長寿命化を進めており、必要な対策は実施できるよう努めていく。
将来負担比率及び実質公債費比率ともに、類似団体内平均値と比べ高い水準にある。将来負担比率については、地方債の償還が新規発行を上回ってきたこと等により減少傾向にある。また実質公債費比率については、義務教育教員等の給与負担の権限移譲に伴う財源措置等により、分母となる標準財政規模が増加したことに加え、分子となる地方債の元利償還金が減少したこと等により、減少傾向にある。予算編成にあたり作成している中期的な財政見通しでは、今後も同程度の地方債の元利償還を見込んでいることから、実質公債費比率については大幅に変わることはないと想定されるが、世代間の負担の公平に配慮しつつ、将来世代に過度な負担を残さないよう、計画的な財政運営に努める。
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