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平成29年度は県費負担教職員に係る給与負担等が本市へ移譲されたことに伴い、基準財政収入額・基準財政需要額ともに増加している。財政力指数は、地方税や県税交付金の増などにより基準財政収入額が増加傾向にあるものの、社会保障関係経費の増などにより基準財政需要額も増加傾向にあるため、前年並となっている。指数は1.00を下回っているものの、類似団体内平均値を上回っている。
平成29年度の経常収支比率は、市税が増加したこと、株式等譲渡所得割交付金や地方消費税交付金が増加したことなどにより前年度に比べて0.6ポイント下回り、99.2%となったが、依然として高い水準にある。これは、都市基盤整備の進捗に伴い新規の投資的経費への支出割合が低くなっている一方で過去の整備に伴う元利償還である公債費への支出割合が横ばいとなっていることや、少子高齢化の進展や社会保障施策の拡充に伴い保育や障害者福祉、医療などへの支出割合が高まっていることなど、社会構造、都市構造の変化を主な要因とするものであり、成熟度の高い都市の特徴であると考えられる。
平成29年度の人口1人当たり人件費・物件費等決算額は、県が負担していた義務教育等に係る教職員の給与等を本市が負担することになったことなどにより人件費が増加したため、前年度と比べて38,948円増加した。なお本市において、人件費については、定員管理の方針に基づき、計画的に職員数の見直しなどを行っており、物件費等については、内部管理事務経費や施設の維持管理費を精査することなどにより、経費の削減に努めている。
平成26年3月31日までの本市独自の給料削減措置の終了により、平成26年度(平成27年4月1日現在)のラスパイレス指数が上昇したものと考えられる。平成28年4月1日から国に準じ給与制度の総合的見直しを実施し、本市においては給料表の水準の平均4.5%の引下げ及び国と同率の地域手当の支給割合の見直し等に取り組んだ結果、平成27年度(平成28年4月1日現在)のラスパイレス指数が下降したものと考えられる。(注)平成29年度の値は、平成31年1月末時点において、平成30年地方公務員給与実態調査(総務省自治行政局公務員部給与能率推進室)の結果が未公表のため、平成28年度(平成29年4月1日現在)の数値を引用している。
平成28年度から人口千人あたり職員数が増加した主な要因は、平成29年4月1日に県から本市に小中学校等の教職員9,636人が移管されたためである。小中学校等の教職員の移管という特殊事情を除いた部分については、平成28年3月に策定した「平成29~31度定員管理の方針」において事務の集約化や施設のあり方の見直し、事務の委託化・嘱託化等により職員数を見直し、必要度・重要度のより高い事務事業に重点的に職員を配置しているが、人口当たり職員数は類似団体内平均値を上回っている。これは高校等の市立教育機関数や、保育所等の直営福祉施設数の差が主な要因であると考えられる。同方針では平成28年度職員数に対し、平成31年度当初までに公営企業及び県から移管された小中学校等の教職員等を除き、100人程度の純減を目指しており、継続して組織の簡略化、効率化を図り、職員の適切な定員管理に努める。
平成29年度は類似団体内平均値と比べると1.5ポイント高く、前年度と比べると1.3ポイント減少している。これは、地方債の元利償還金が減少したことや県費負担教職員に係る給与負担等が本市へ移譲されたことに伴う財政措置により標準財政規模が大幅に増加したこと等による。今後も世代間の負担の公平に配慮しつつ、将来世代に過度な負担を残さないよう、計画的な財政運営に努める。
平成29年度は類似団体内平均値と比べると19.0ポイント高く、前年度と比べると13.8ポイント減少している。これは、地方債現在高が減少したことや県費負担教職員に係る給与負担等が本市へ移譲されたことに伴い、退職手当負担見込額等の将来負担額が増加したものの、標準財政規模が大幅に増加したこと等による。今後も世代間の負担の公平に配慮しつつ、将来世代に過度な負担を残さないよう、計画的な財政運営に努める。
人件費については、定員管理の方針に基づき、計画的に職員数の見直しなどを行っていることから、平成25年度から27年度まで減少しているが、平成28年度は発達障害者対応支援員の拡充などにより増加した。平成29年度については県が負担していた義務教育等に係る教職員の給与等を本市が負担することになったことなどにより、前年度に比べて7.7ポイント増加し、32.3%となった。また、次頁の人件費及び人件費に準ずる費用の人口1人当たりの歳出決算額は、依然として類似団体内平均値を上回っている。その理由及び分析については、(3)市町村財政比較分析表の「定員管理の状況」分析欄を参照。
平成29年度の物件費に係る経常収支比率は10.6%で、前年度と比べて1.2ポイント減少している。これは、県費負担教職員に係る給与負担等が本市へ移譲されたことに伴い経常一般財源等が増加したためである。また、平成25年度から11.0%前後で推移しており、類似団体内平均値と比べて低い水準を維持している。これは施設運営の効率化や光熱水費の削減などに努めてきた結果であると考えられる。
平成29年度の扶助費に係る経常収支比率は16.3%と類似団体内平均値と比べて高い水準にある。社会福祉施策に係る経費や児童福祉施策に係る経費などが増加しているものの、県費負担教職員に係る給与負担等が本市へ移譲されたことに伴う経常一般財源等の増加により、扶助費に係る経常収支比率が前年度に比べて1.3ポイント減少した。
平成29年度のその他の経費に係る経常収支比率は10.8%で、前年度から1.1ポイント減少している。これは、義務的な性格が強い国民健康保険、後期高齢者医療、介護保険に対する繰出金が増加傾向にある一方で、県費負担教職員に係る給与負担等が本市へ移譲されたことに伴い経常一般財源等が増加したためである。
平成29年度の補助費等に係る経常収支比率は11.5%であり、前年度と比べて1.7ポイント減少している。これは、県費負担教職員に係る給与負担等が本市へ移譲されたことに伴い経常一般財源等が増加したことや、地下鉄特例債元金償還補助金が減少したことなどによるものである。また、類似団体内平均値と比べて高い水準にある。これは、公営企業などへの繰出が多額になっていること及び名古屋港を管理する一部事務組合を設置し、負担金を支出していることが主な要因であると考えられる。
平成29年度の公債費に係る経常収支比率は17.7%で、類似団体内平均値と比べて低い水準を維持している。また、前年度から3.0ポイント減少しているが、これは、県費負担教職員に係る給与負担等が本市へ移譲されたことに伴い経常一般財源等が増加したことや、平成26年度以降、利率の低下に伴い利子支払額が減少したことなどが要因であると考えられる。今後も地方債発行にあたり、実質公債費比率や地方債現在高等に注視しながら、将来世代に過度の負担を残さないように十分留意する必要がある。
公債費以外に係る経常収支比率は、平成27年度は県税交付金などの経常一般財源等の増により76.7%と平成26年度から1.1ポイント減少しているが、平成28年度は県税交付金などが減少したため、2.4ポイント増加している。平成29年度については、県が負担していた義務教育等に係る教職員の給与等を本市が負担することになったことなどの影響により、2.4ポイント増加し81.5%となっており、依然として、類似団体内平均値と比べて高い水準にある。これは、人件費、扶助費及び補助費等が類似団体内平均値と比べて高いためである。※人件費、扶助費及び補助費等の分析欄を参照
(増減理由)財政調整基金等の残高が増加した一方、事業進捗により大規模施設整備積立基金等の残高が減少したことにより、基金全体の残高は前年度と比べて約17億円減少している。(今後の方針)各基金の設置目的に基づき事業の進捗に応じて、毎年度の予算編成において積立て及び取崩しの検討を行っていく。
(増減理由)一般会計決算剰余金の基金編入等により、財政調整基金残高は前年度と比べて約16億円増加している。(今後の方針)財政規律で定めた「財政調整基金の積立額100億円を目指す」という目標を念頭に置き、長期的な視点に立った健全な財政運営に努めていく。
(増減理由)市債償還財源繰出のための取崩しにより、減債基金残高は前年度と比べて約3億円減少している。(今後の方針)各年度の公債の償還の財源に充てるために必要な積立て及び取崩しを行っていく。
(基金の使途)住宅敷金積立基金:市営住宅等の敷金を管理震災対策事業基金:震災対策事業を推進するための資金大規模施設整備積立基金:大規模施設整備に必要な資金国際交流事業積立基金:国際交流事業を推進するための資金名古屋城本丸御殿積立基金:名古屋城本丸御殿を復元するための資金(増減理由)大規模施設整備積立基金については、土地区画整理事業の進捗に伴う財源繰出しのための取崩し等により、基金残高は前年度と比べて約14億円減少している。名古屋城本丸御殿積立基金については、平成30年6月に完成公開した名古屋城本丸御殿の復元事業の進捗に伴う財源繰出しのための取崩し等により、基金残高は前年と比べて約9億円減少している。(今後の方針)各基金の設置目的に基づき事業の進捗に応じて、毎年度の予算編成において積立て及び取崩しの検討を行っていく。
本市の公共施設については、市設建築物については昭和40年代から60年代を中心に、公共土木施設(道路・橋りょう等)については昭和30年代から集中的に整備してきた結果、施設の年数の経過により有形固定資産減価償却率が高い状況となっている。そのため、現在、市設建築物については、従来の築40年程度での改築から、建築物の構造体の耐久性に応じて築60年から80年程度へと長寿命化を進めている。また、公共土木施設である道路及び橋りょうについても、計画的な点検に基づき補修等を実施することにより長寿命化を進めている。
将来負担比率及び有形固定資産減価償却率ともに、類似団体内平均と比べ高い水準にある。将来負担比率については、地方債の償還が新規発行を上回ってきたこと等により減少傾向にある一方で、有形固定資産減価償却率は上昇傾向にある。これの主な要因としては、市設建築物については昭和40年代から60年代を中心に、公共土木施設(道路・橋りょう等)については昭和30年代から集中的に整備してきた結果、施設の年数の経過によるものである。
将来負担比率及び実質公債費比率ともに、類似団体内平均値と比べ高い水準にある。将来負担比率については、地方債の償還が新規発行を上回ってきたこと等により減少傾向にある。また実質公債費比率については、地方債の元利償還金が減少したこと等により、平成26年以降減少傾向にある。予算編成にあたり作成している中期的な財政見通しでは、今後も同程度の地方債の元利償還を見込んでいることから、実質公債費比率についても同水準で推移するものと想定されるが、世代間の負担の公平に配慮しつつ、将来世代に過度な負担を残さないよう、計画的な財政運営に努める。
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