経営の健全性・効率性について
①②経常収支比率は、一般会計繰入金の減に伴う経常収益の減少とともに、処理場施設の故障に伴う経常費用の増加により、前年度より約2.5ポイント低下したが、健全経営の水準とされる100%を上回った。③流動比率は、流動負債の1年以内に返済する企業債償還金が多いため、比率は100%を下回っているが、月々の安定した下水料金などで賄うことが予定されているため、支払い能力は有していると言える。④企業債残高対事業規模比率は、令和2年度に一般会計繰入金の見直しを行い企業債償還金への一般会計負担分が多くなったことから比率は低下したが、令和3年度も計画的に企業債の償還を進め、更なる比率の低下が求められる。⑤⑥効率的な汚水処理により、汚水処理原価は継続して低水準を維持していることから、経費回収率は、前年度より3.2ポイントほど低下したものの前年度に引き続き100%を超えており、下水料金で汚水処理に必要な経費が賄えている。⑦施設利用率は、類似団体と同程度ですが、一日最大処理水量とのバランスも考慮すると、比較的適正な規模であると言える。⑧水洗化率は、類似団体と比較して低い水準となっているため、下水道へ接続していない世帯に対して、引き続き普及活動に取り組む必要がある。
老朽化の状況について
①②償却対象資産の減価償却の状況を示す有形固定資産減価償却率は前年度対比1.5ポイント増の44.7%、法定耐用年数を経過した管渠延長の割合を示す管渠老朽化率も前年度比1.5ポイント増の13.5%となり、老朽化が進展している状況となっているため、引き続き、予防保全的な修繕や部分的な更新工事により現有資産の長寿命化を図りながら効率的な施設の更新を行う。③当該年度に更新した管渠延長の割合を示す管渠改善率は前年度比0.07ポイント増の0.15%と低い値であるため、ストックマネジメント計画に基づきライフサイクルコストの縮減を図りながら、管渠の更新を推進するとともに、下水処理施設の更新も継続していかなければならない。
全体総括
経営の健全性については、必要とされる基準をクリアする項目もあり、一定の健全性が認められる状態であるが、今後は、人口減少や節水型社会の進展に伴い、水需要の低下に伴い排水量も低下する見通しであり、収益の増加が見込めない状況である。このような中、下水道への未接続世帯へのより一層の普及促進により、下水料金の増収につなげていくことが重要である。また、施設の更新費用についても、下水道施設の長寿命化とともに、水需要に応じたダウンサイジングや統廃合なども十分に検討しつつ、計画的かつ合理的な施設の更新を実施することで支出を抑え、効率的な経営を展開していかなければならない。【経営戦略について】岐阜市上下水道事業経営戦略<策定>令和2年2月<改定>令和5年度(予定)