経営の健全性・効率性について
今年度は、下水道未接続者へダイレクトメールを送付する施策を行ったことにより、新規接続が増え水洗化率が伸びた。これにより使用料収入が増加し、経常収支比率が改善した。経常収支比率は、類似団体平均と比較しても良好な数値であり、健全な経営状況にあるといえる。流動比率は前年度から低下しているため、今後は水洗化率の向上による更なる使用料収入の増加につなげ、流動比率の改善に努める必要がある。企業債残高対事業規模比率は、平成2年の事業着手以降、急速に施設整備を推進してきたことから、類似団体平均より高い状況である。今後は新たに資本費平準化債の借入れを予定しており、企業債残高対事業規模比率は大きくなることが予想されるため、計画的な企業債の償還に努める。使用料収入の増加により経費回収率は改善し、また維持管理費(委託料等)の減少により汚水処理原価は減少したものの、類似団体平均よりも高い状況である。施設利用率は、事業計画の変更に伴い改善しているものの、今後は人口減少により減少傾向となる見込みである。今後は「安曇野市下水道事業経営戦略」に基づき、平成38年度に水洗化率94.0%を目標に水洗化の促進に努める。また、施設の統廃合を検討し、経営の効率性を高める必要がある。
老朽化の状況について
安曇野市は、供用開始から20年ほどしか経過していないため、老朽化を示す指標は非常に低くなっている。管渠改善率は、道路改良工事に伴う布設替えで前年度より延びている。今後は「安曇野市下水道事業経営戦略」に基づく計画的な修繕や維持管理により、施設の長寿命化を図る。しかし、短期間に整備工事を行ってきたことから、将来的に更新時期が集中することが想定されるため、計画的にカメラ調査や適切な維持管理をし、長寿命化対策に取り組む。
全体総括
安曇野市下水道事業は、地方公営企業法適用事業へ移行して2年目の決算を迎えたが、経営の健全性は順調に推移している。また、現在老朽化を示す値は非常に低いが、今後は更新需要の増加が想定されるため、ストックマネジメントの早期策定を進める。平成28年度に策定した「安曇野市水道事業経営戦略」に基づき、計画的に事業を遂行し、水洗化率の向上、施設の長寿命化のための適切な維持管理を確実に行い、健全で持続可能な経営を図っていく。