収益等の状況について
①収益的収支比率は1年間を通じコロナ禍の影響を受け、総収益の減少が顕著で、一層の落ち込みとなりました。②他会計補助金比率は、類似施設平均よりは低い値ですが、施設修繕による繰入金の微増があったものの、売上高の減に伴う更に大きな総費用の減により、割合としては増加しています。③宿泊者一人当たりの他会計補助金額は、類似施設平均よりは低い値ですが、コロナ禍により宿泊者数が45%超減となった影響で、上昇し、④定員稼働率も、類似施設平均よりは高い値ですが、同様に落ち込んでしまいました。⑤売上高人件費比率は類似施設平均よりは低い値ですが、売上高の減少が、それに伴う人件費の減より割合が多く、比率が上昇しています。⑥売上高GOP比率は類似施設よりは高い値ですが、値は落ち込んでおり、売上高減小の一方、コロナ禍の中でも削減の難しい経費の影響が現れています。⑦EBITDAはやや値が下振れしており、総費用の減小よりも総収益の減少のほうがやや大きかったことによります。
資産等の状況について
⑩設備投資見込み額は、経年劣化や災害による修繕を行いつつ、施設内に分煙室を設けるなど、設備投資を行いました。今後は、築後17年を迎え、更に老朽化による設備投資が増えることが予想されます。⑫企業債残高料金収入比率については、観光施設事業に関わる企業債は平成27年度に完済、平成24年度から指定管理者制度を導入し、現在は料金収入もないため0%となっています。
利用の状況について
⑬施設と周辺地域の宿泊客動向については、当該施設及び周辺地域それぞれの延宿泊者数が、所在都道府県の延宿泊者数に占める割合の推移を表す指標です。平成29年度に指定管理者の変更があり、その努力により、平成29年度時点から比較すると宿泊者数は増加していますが、指標については公営企業(当該施設)の宿泊者数はコロナ禍により下降傾向、周辺地域(所在市町村)の宿泊需要は上昇傾向にあります。
全体総括
当該施設については平成16年度から事業を開始し、平成24年度からは指定管理制度を導入して運営しています。一般会計からの繰入金に依存しているため、より一層の経営改善により宿泊者数を増加させ、独立採算の運営が求められています。当該施設は下久保ダムや城峯公園といった施設が近くにある立地で、観光客が多く訪れる場所ではありますが、山中にあり、冬季には路面の凍結が発生するなど、閑散期における宿泊客獲得に向けた対応が必要です。コロナ禍による観光不況が著しく、感染防止と経営努力を両立させる難しい状況があります。