経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率・・・事業量の減少による他会計繰入金の減少のため前年度から7ポイントほど減少している。100%以上の指標であるが、今後も費用削減などを考え分析する必要があると考える。④企業債残高対事業規模比率・・・浄化槽整備区域が町全体であり、毎年合併処理浄化槽設置工事を実施しているために減少傾向にあるが、例年平均値よりも高い値となっている。合併処理浄化槽設置促進の観点から投資規模は同様の状況で推移すると考えられるため、使用料の改定等を検討していく必要がある。⑤経費回収率・・・委託料、繰出金、消費税等の増加により10ポイントほど減少している。平均値を下回っているため、今後使用料改定や費用削減の検討が必要である。⑥汚水処理原価・・・繰出金の増加の影響で前年度から58ポイントほど増加していて、平均値よりも高く推移しているため、費用削減などを考え分析する必要がある。⑦施設利用率…市町村設置型事業で整備した浄化槽については住民の一般家庭に設置されているため、過去5年間高い値で推移している。利用状況としては、適正に利用されていると考えられるため継続してこの値を保つ必要がある。今後利用率が低下する要因としては浄化槽を設置済みの家庭が空き家となった場合が考えられる。⑧水洗化率・・・過去5年間低い値であり、前年度から減少している。この数値だけを見ると合併処理浄化槽の更なる普及が必要と考えられるが、高齢者世帯が多くその家には次の世代が住まないお宅が多い現状や既存の単独処理浄化槽や汲取り槽は個人の資産であるため無理に合併処理浄化槽への転換をお願いできない点を考慮すると水洗化率は低いままではあるが現状から増加させていくのは難しい問題である。今後は非水洗化の世帯を年代などを把握し、水洗化の可能性のある住民へのアプローチをしていくことが必要と考えている。
老朽化の状況について
当町では平成8年度に合併処理浄化槽市町村設置型事業を開始し、事業開始から20年以上経過している。設置後の合併処理浄化槽については、神流町浄化槽清掃業許可業者各社による保守点検や清掃、法定検査を実施しているなかで公益財団法人群馬県環境検査事業団からの不適正浄化槽に対する指摘は増加している。経過年数を考えると今後さらに増加することも見込まれるため、今後も適正な管理を徹底し長く使用できるよう心がける必要がある。町として浄化槽本体の老朽化に関する状況把握は実施していないが、委託業者と連携し故障箇所の早期発見、早期修繕ができるような体制を構築している。現在まで大規模な修繕は発生していない。近年浄化槽内部の担体の修繕が多数発生しているが、これは1人暮らし世帯等使用頻度の少ない浄化槽に発生する不具合であるため、町としては仕方ないことであると認識している。今後、老朽化により合併処理浄化槽から合併処理浄化槽への入れ替えが発生することも視野に入れ事業を展開していく必要がある。
全体総括
全体的に健全な経営といえる数値へ近づけるための経営改善が必要と考えられる。水洗化率については平均値より大きく下回っている。合併処理浄化槽への転換を呼びかけることが必要であることに関して町としては理解しているが、過疎地域で高齢者世帯が多く、さらに次の世代も住まないお宅が多い現状を考慮するとその世代への積極的な呼びかけは行えない。非水洗化人口の世代を分析し、転換の可能性のある世代への促進に力を入れていく必要があると考える。さらに今後は合併処理浄化槽設置希望者が少なくなるため施設整備費を抑え、修繕費に重点を置いて事業を継続していく必要があると考える。そのためには、経営に関して経費削減や適正な使用料について検討が必要である。なお、令和6年度からは公営企業会計への移行を予定している。