経営の健全性・効率性について
「①経常収支比率」及び「⑤料金回収率」は,経常費用の増加に伴い前年度比でやや低下したが,いずれも100%を超えるとともに類似団体平均値を上回っており,これは経常収益が伸び悩む中で経費削減を行ってきた結果と言える。また「⑦施設利用率」は,一日平均配水量が増加したことにより前年度比で上昇し,類似団体平均値を上回った。非常時の予備力とされる計画浄水量の25%を引き続き確保しており,適切な施設規模を保っていると言える。一方「⑧有収率」は漏水量の増加に伴い,前年度比及び類似団体平均値を下回った。以上のことから,本市の水道事業は適正な施設規模を持ち,給水に係る費用が給水収益で賄えていることに加え,将来の施設の老朽化や耐震化に向けた資金となる利益を生んでおり,健全な経営状態であると評価できる。一方で,漏水量の増大に対する実効性のある取組をより一層推進することが必要と言える。
老朽化の状況について
「②管路経年化率」は類似団体平均値を下回っており相対的に管路の老朽度合は低いと言えるが,年々上昇を続けており,法定耐用年数を超えた管路が増加している。一方,「③管路更新率」は計画的な更新を行っているが,ほぼ横ばいの状況であり類似団体平均値を下回った。
全体総括
給水収益を適切に確保する一方,効率的な維持管理や企業債残高の縮減などにより給水費用の低減を図るとともに,漏水対策への実効性ある取組の推進や水需要に見合った施設の再構築などにより経営の健全化・効率化を図る。また老朽管路の更新についても,将来的に更新需要の増大が見込まれることから,財政収支との整合を図りながら計画的に取り組む必要がある。