1.資産・負債の状況
【一般会計等】資産総額は、前年度末と比較して2,923百万円(1.4%)減少した。金額の変動が大きいものはインフラ資産であり、4,323百万円(4.1%)減少した。工作物(道路・橋りょう等)の減価償却費が投資額を上回ったことが大きな要因となっている。もう一方の事業用資産は、新たに保育園や学童保育所を取得したことにより1,404百万円(1.9%)の増となった。負債総額は、前年度末と比較して1,282百万円(1.9%)減少した。金額の変動が大きいものは地方債(固定負債)であり、当年度の元金償還額が新規発行額を上回ったとにより、地方債残高は1,241百万円(2.3%)減少した。【全体・連結】全体では、平成29年度から下水道事業会計を含んでいる。上下水道管等の固定資産を計上しているため、一般会計等に比べて資産総額は100,567百万円多くなっている。また、各一部事務組合、広域連合、第三セクター等を加えた連結では、酒田地区広域行政組合の一般廃棄物処理施設、消防関連施設等の固定資産を計上しているため、全体に比べて資産総額は11,845百万円多くなっている
2.行政コストの状況
【一般会計等】経常費用は63,402百万円となり、そのうち業務費用は26,226百万円(構成比41.4%)、移転費用は37,176百万円(構成比58.6%)であった。業務費用のうち最も金額が大きいのは、減価償却費や維持補修費を含む物件費等(17,805百万円)であり、当該年度は1,719百万円(10.7%)増加し、経常費用全体の28.1%を占める支出となっている。また、移転費用のうち、補助金等が15,861百万円(187.5%)と大幅な増となったため、移転費用全体についても、13,455百万円(56.7%)増加した。【全体・連結】全体では、一般会計等に比べて、水道料金等を使用料及び手数料に計上しているため、経常収益が4,380百万円多くなっている一方、国民健康保険や介護保険の給付費を補助金等に計上しているため、移転費用が17,797百万円多くなり、純行政コストは21,554百万円多くなっている。連結では、全体に比べて、連結対象企業等の事業収益を計上し、経常収益が2,935百万円多くなっている。一方、経常費用が14,596百万円多くなり、純行政コストは11,590百万円多くなっている。
3.純資産変動の状況
【一般会計等】純行政コスト61,870百万円が税収等の財源59,808百万円を上回っており、本年度差額は2,063百万円となった。また、純資産残高は1,641百万円の減少となった。【全体・連結】全体では、平成29年度から下水道事業会計を含んでいる。国民健康保険税や介護保険料が税収等に含まれることから、一般会計等と比べて税収等が9,383百万円多くなっており、本年度差額は1,606百万円となり、結果的に純資産残高は1,586百万円の増加となった。連結では、連結対象団体の純行政コストの増加等はあったものの、税収等、国県等補助金の財源増もあり、本年度差額は▲927百万円となり、結果的に純資産残高は2,268百万円の増となった。
4.資金収支の状況
【一般会計等】投資活動収支は公共施設等整備費支出が1,574百万円増加したこと等により1,838百万円、財務活動収支は53百万円減の▲1,066百万円、業務活動収支は526百万円増加の3,183百万円となり、本年度末資金残高は前年度から279百万円増加し、1,800百万円となった。【全体・連結】全体では、本年度末資金残高は前年度から578百万円増加し、8,142百万円となった。連結については、資金収支計算書を作成していない。
1.資産の状況
住民一人当たり資産額及び歳入額対資産比率が、類似団体平均を上回っているが、これは、市町合併により旧市町で保有していた公共施設を併せ持つこととなり、用途の重複した公共施設を複数保有していることなどが大きな要因と考えられる。歳入額対資産比率は数値を下げ、有形固定資産減価償却率は数値を上げた。事業用建物、インフラ工作物ともに取得価額は増となったが、それを上回る減価償却費の計上があったためで、特にインフラ資産の工作物の老朽化が激しいことに起因している。施設の修繕や更新等に係る財政負担の縮減を図るためには、機能の重複した施設の統廃合について更なる取り組みを進める必要がある。
2.資産と負債の比率
純資産比率は、類似団体平均とほぼ同水準となっているが、地方債償還額より、老朽化が進む固定資産減少額のほうが大きかったため、純資産が前年度比で1.1%減少している。純資産の減少は、将来世代が利用可能な資源を過去及び現世代が費消して便益を享受したことを意味するため、事務事業の見直し等による行政コストの削減や、ふるさと納税寄附金などの財源確保に努める。社会資本等形成に係る将来世代の負担の程度を示す将来世代負担比率は、類似団体平均を上回っている。本市では合併後、合併団体のみが発行可能で、有利な財源である合併特例事業債を活用して公共施設等の整備を積極的に進めてきたことから、非合併団体と比較して地方債残高が大きいことが要因の一つと考えられる。
3.行政コストの状況
住民一人当たり行政コストは類似団体平均を上回っている。保有している公共施設が多いことから、これに係る減価償却費や維持補修費が大きくなっていることや、令和2年度は、業務費用の物件費、移転費用の補助金等の支出が大きくなったため、住民一人当たり行政コストが高くなっている機能の重複した施設の統廃合を進めるなど、公共施設等の適正管理により、行政コストの縮減に努める必要がある。
4.負債の状況
住民一人当たり負債額は類似団体平均を上回っている。有利な財源である合併特例事業債を活用してきたことにより、非合併団体と比較して地方債残高が大きいことが要因の一つと考えられる。一方、基金取崩収入及び基金積立支出を除いた投資活動収支の赤字分を業務活動収支の黒字分が上回るため、基礎的財政収支は1,533百万円となり、類似団体平均との比較でも上回っている。なお、投資活動収支が赤字となっているのは、地方債を発行(財務活動収入)して、公共施設等の整備を行っているためである。
5.受益者負担の状況
受益者負担比率は類似団体平均を下回っており、令和2年度は、業務費用の物件費、移転費用の補助金等の支出が大きくなったため、さらに数値を下げているおり、行政サービスの提供に対する直接的な負担の割合が低くなっている。公共施設等の使用料や減免基準の見直しを行うなど、受益者負担の適正化を図っていく。なお、類似団体平均まで受益者負担比率を引き上げるためには、仮に経常収益を一定とする場合は、14,970百万円経常費用を削減する必要があり、経常費用を一定とする場合は、554百万円経常収益を増加させる必要がある。