経営の健全性・効率性について
下水道整備に要する費用の平準化を図るため、平成27年度から資本費平準化債を発行していることにより、①収益的収支比率は60%台、④企業債残高対事業規模比率は高い状態で推移しています。⑤経費回収率は、前年度の100.62%から98.31%ととなり、使用料収入で汚水処理にかかる費用の全てを賄うことはできませんでした。また、⑥汚水処理原価は近年増加が続き、平均値を大きく上回っています。その要因には、処理場改築に伴う地方債償還金の増加があります。この傾向は今後も続くため、維持管理に要する費用の削減に取り組み、経営の効率性向上を図らなければなりません。⑦施設利用率は64.60%、⑧水洗化率は87.37%と平均値より良い値となりました。引き続き水洗化率の向上に努めるとともに、施設の有効活用も検討する必要があります。
老朽化の状況について
管渠施設は、昭和56年度に下水道建設を開始してから37年が経過しました。これまで管渠の更新は必要ありませんでしたが、今後大量に老朽化していきます。今後はストックマネジメント計画に基づき、最適な施設管理を行っていく必要があります。ただし、①収益的収支比率が恒常的に100%を大きく下回っているため、今後発生する管渠の更新費用など、将来の事業継続に向けた対策を講じていかなければなりません。処理施設については、昭和61年の供用開始から30年以上が経過しました。耐用年数(10~15年)を超える老朽化した機械・電気設備も多くあることから、ストックマネジメント計画に基づき計画的に改築・更新を行っていきます。
全体総括
今後見込まれる施設の改築費用や維持管理費用の増加、人口減少による使用料収入の減少等を踏まえ、快適な市民生活を支える下水道事業を持続的に提供していくためには、安定した下水道経営の実現が不可欠です。そのためにも、地方公営企業法を適用し、財務諸表などから的確な経営分析を行い、経営改善を図っていかなければなりません。特に、保有する膨大な施設の資産価値を把握し、毎年度減価償却していくことで算定される汚水処理に要する費用から、適切な使用料を設定する必要があります。経営原則の独立採算性を高めるためには、経営の健全化を図り一般会計からの繰入を減らし、自立性をもって事業を継続していく必要があります。