経営の健全性・効率性について
公共下水道事業では平成24年度の料金改定以降、使用料収入が増加し、経常収支比率は100%を超え累積欠損金比率も大幅に低下し、平成25年度には累積欠損金が0となった。経費回収率については、平成25年度以降は比率が高く、使用料で回収すべき経費を全て使用料で賄えている状況であり、汚水処理原価も比率が大幅に低下し、効率的な汚水処理が実施されているため、現状は概ね健全な経営状況にあると言える。弘前市下水処理場は1973年の供用開始から40年以上が経過し、経年劣化による老朽化が進むなど、改築・更新等に多額の費用を要することから、処理能力に余裕を生じている隣接地青森県流域下水道施設へ施設統合を行ったため、平成27年度から汚水処理を停止したことにより、施設利用率は皆無となっている。企業債残高については今後とも、投資対象の費用対効果の精査と効率的な施設整備を基本として、可能な限り費用を抑制し、将来の投資に備える財源確保に努めたい。また、今後は人口の減少に伴い使用料収入も減少していく見込みで、現在の経営状況を維持するには、更なる費用の削減と水洗化率の向上を図る必要がある。
老朽化の状況について
老朽化の状況については、平成25年度以降、管渠老朽化率は徐々に上昇しており今後はヒューム管を中心に法定耐用年数を経過する管渠が大量に発生し、施設等の老朽化もますます進むと考えられるため、国からの交付金を活用するなど、一気に更新費用が増加しないように重要度・緊急度を見極めながら計画的な更新を行っていくことが必要である。
全体総括
短期的な支払能力を示す流動比率の数値は低い状況にあるが、経常収支比率や経費回収率は100%を超えていることから、概ね健全な状況にあると考える。今後は人口減少等に伴い収益は減少する一方で、老朽化した施設等の更新等費用は増加するため、水洗化率向上に向けた督励活動や事業の平準化を図るなど計画的に事業を進め、引き続き健全な経営に努めることとする。また、管渠改築事業や長寿命化計画といった施設等の計画的な改築・更新にも取り組んでいることから、今後はこの取組を継続し続けながらも、その都度、より効果的な方法の再検討や、更なる維持管理費の削減、そして改築費用の確保に努め、施設の適正管理を行いながら中長期的な施設等の更新を進めていく必要がある。