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収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2023年度)

財政力指数の分析欄

地方消費税の増により、基準財政収入額は増加した。基準財政需要額は国の制度拡充による介護保険及び後期高齢者関係等の増があった一方、交付税算入公債費及び人口減少に伴う関係費目(教育費、農業行政費等)が減となり、相対的には基準財政収入額の増加割合よりも低くなったことで、単年度の財政力指数は対前年度比で僅かに低下した。これにより、3ヵ年平均も僅かに低下したが、グループ内平均とは同水準である。

経常収支比率の分析欄

令和5年度は、前年度と比べて、定年延長に伴い退職手当が減少したこと等により人件費が減少したことに加え、地方交付税が26億円増加したことで経常収支比率は改善した。グループ団体と比較すると、補助費等に係る経常収支比率が高い傾向にあるが、これは広大な県土面積を有する本県において、山間へき地など医療資源や公共交通機関に恵まれない地域に対応するため、全国で最も多い県立病院等(20病院、6地域診療センター)を設置しており、これらの病院の運営に対する負担金等が多額となっているためである。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

人件費、物件費及び維持補修費の合計額の人口1人当たりの金額がグループ内平均値を上回っているのは、維持補修費等が要因である。本県特有の事情として、維持補修費においては、広大な県土面積を有し除雪箇所が多いため、除雪に係る経費が多額であることが要因である。厳しい財政状況に鑑み、職員給与の査定昇給制度の活用や適切な昇任管理を実施し、総人件費の抑制を行っており、今後も適切に対処していく方針である。

ラスパイレス指数の分析欄

人事委員会勧告に基づいて実施した平成28年度の給与制度の総合的見直しにおける給料表の水準調整等により、ラスパイレス指数は上昇傾向にあったが、当該見直しに伴う現給保障が平成31年3月で終了したことにより低下した。その後、東日本大震災津波復興業務に対応する任期付職員が、復興事業の進捗に伴い減少したことにより、ラスパイレス指数は上昇したものの、近年、若年層の職員割合が増加したこと(平成20年度以降の職員採用の拡大に伴うもの)により低下傾向に転じている。査定昇給制度の活用や適切な昇任管理の実施により、引き続き適正な給与水準の維持に努める。

人口10万人当たり職員数の分析欄

本県では、「集中改革プログラム(第1期アクションプラン改革編)」の期間(平成19~22)において、事務事業の見直しや業務プロセスの改善等により、公営企業を除く全体で1,419人を削減した。平成23年3月に発生した東日本大震災津波以降は、迅速な復旧・復興の実現に向けて、他の都道府県からの応援職員の受入や任期付職員等の採用などにより、マンパワー不足に対応してきた。ここ数年は、復興の進捗に伴う減少の一方、度重なる自然災害や新型コロナウイルス感染症対策などに対応するため、土木職や保健師をはじめとする技術系職員の採用を積極的に行ったことにより、人口10万人当たり職員数は横ばい傾向となっているところ。今後も、必要な職員数を確保しつつ、不要不急な業務の見直しを不断に行い、適正な定員管理に取り組んでいく。

実質公債費比率の分析欄

実質公債費比率はグループ内平均値を上回っているが、これは、国の経済対策に呼応して建設地方債・財源対策債を多額に発行し、公共施設の整備に積極的に取り組んできたことや、公営企業債の元利償還金に対する繰入金の割合が高いことが要因と考えられる。平成25年度に策定した公債費負担適正化計画に基づき、県債発行額を維持・抑制してきたことにより、公債費は平成26年度をピークに低下しているものの、今後は、平成28年度台風第10号や令和元年度台風19号等に係る災害対応事業のほか、国の防災・減災、国土強靱化対策などの経済対策に呼応した事業の実施等により増加に転じることが見込まれるため、低利資金の活用や資金調達方法の多様化を図り、適正に管理していく。

将来負担比率の分析欄

将来負担比率は、グループ内平均値を上回っているが、これは、国の経済対策に呼応して建設地方債・財源対策債を多額に発行し、公共施設の整備に積極的に取り組んできたことから、地方債の残高が標準財政規模に比して多額となっているためである。地方債の現在高(一般会計)は、将来負担額の約9割を占め、1,280,263百万円となっているが、令和元年度と比べて64,224百万円減少しており、将来負担額は減少している。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2023年度)

人件費の分析欄

令和4年度は人事委員会勧告に基づく給与の増額改定(月例給0.29%、ボーナス0.10月)により上昇したが、令和5年度は若年層の職員割合の増等による平均給料の減や超過勤務手当の減により令和3年度の水準まで低下したところ。平成17年度から平成30年度にかけて特別調整額(管理職手当)の特例減額等により、人件費の抑制に努めてきたことに加え、査定昇給制度の活用や適切な昇任管理の実施により、グループ内平均を下回っている。引き続き適切な人件費の維持に努める。

物件費の分析欄

物件費に係る経常収支比率は、グループ内平均値とほぼ同率を維持しているが、これは、平成24年度に、部局予算枠や一律削減方式を原則廃止し、全ての事務事業を一件ごとに精査する一件査定方式を導入するなどして、歳出削減に取り組んできたためである。今後も「いわて県民計画(2019~2028)」第2期アクションプラン(行政経営プラン)に基づき歳出の見直しを図っていく。

扶助費の分析欄

扶助費に係る経常収支比率は、市町村合併の影響等により、平成18年度に大きく低下して以降、ほぼ同水準となっている。前年度と比較すると、児童保護措置費の増等により、137百万円の増となった。

その他の分析欄

その他に係る経常収支比率は、本県特有の状況として、広大な県土面積を有し除雪箇所も多いため、除雪に係る経費が多額になっており、類似団体と比較して高い割合となっている。令和5年度においては、除雪に係る経費が増加したこと等により、対前年度比0.3.ポイントの上昇となっている。

補助費等の分析欄

補助費等に係る経常収支比率は、グループ内平均値よりも高くなっているが、これは全国で最も多い県立病院等(20病院、6地域診療センター)の運営に対する県負担金等が多額となっているためである。令和5年度においては、後期高齢者医療療養給付費負担金などの社会保障関係費等の増により、対前年比0.9ポイントの上昇となっている。

公債費の分析欄

平成25年度に策定した公債費負担適正化計画に基づき、県債発行額を維持・抑制してきたことによる県債償還額の減少及び借入利率の低下に伴う利払い額の減少により、対前年度比1,631百万円の減となった。経常収支に占める割合も0.3ポイント低下し、類団平均値を下回った。公債費は、平成26年度をピークに低下しているものの、今後は、平成28年度台風第10号や令和元年度台風19号等に係る災害対応事業のほか、国の防災・減災、国土強靱化対策などの経済対策に呼応した事業の実施等により増加に転じることが見込まれるため、低利資金の活用や資金調達方法の多様化を図り、適正に管理していく。

公債費以外の分析欄

公債費以外に係る経常収支比率については、人件費の比率が低下したことで対前年比1.3ポイント低下する一方、補助費等の比率が上昇したことが影響し、グループ内平均値を上回っている。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2023年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

目的別の歳出で最も構成比が高いのは教育費(17.4%)であり、次いで商工費(15.0%)、民生費(12.7%)の順となっている。教育費は、住民一人当たり112,528円となっており、グループ内平均値に比べて高くなっているが、これは県立大学を設置していることや、小規模な学校が多いことが要因であると考えられる。令和5年度決算では、退職手当の減等に伴い、前年度比7,126円の減(-6.0%)となっている。商工費は、住民一人当たり96,823円となっており、グループ内平均値に比べて高くなっているが、これは東日本大震災津波に係る貸付金が多額であることが要因である。令和5年度決算では、新型コロナ対応関連の旅行支援事業や資金貸付金の減等に伴い、前年度比4,973円の減(-4.9%)となっている。民生費は、住民一人当たり81,912円となっており、グループ内平均値に比べ低くなっているが、これは、後期高齢者医療給付費負担金が他県と比較して低額となっているためと考えられる。また、災害復旧費は、住民一人当たり8,329円となっており、昨年度までは東日本大震災津波等の災害からの復旧・復興事業によりグループ内平均値に比べて高くなっていたが、令和5年度決算では、漁港災害復旧事業の減等により前年度比7,755円の減(-48.2%)となり、グループ内平均値と同水準となった。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2023年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

歳出決算総額は、住民一人当たり645,430円となっている。主な構成項目である人件費は、住民一人当たり137,880円となっている。令和5年度は、人事委員会勧告に基づく給与の増額改定(月例給1.10%、ボーナス0.10月)を行った一方、定年延長に伴い退職手当が減少したこと等により、人件費総額は減少したところ。平成17年度から平成30年度にかけて特別調整額(管理職手当)の特例減額等により、人件費の抑制に努めてきたが、査定昇給制度の活用や適切な昇任管理の実施により、引き続き適切な人件費の維持に努める。また、補助費は、新型コロナウイルス感染症や物価高対策等への対応に伴い令和2年度以降、歳出に占める割合が高かったが、令和5年度に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類となったこと等により、歳出総額は減少したところ。維持補修費は、住民一人当たり13,461円となっており、グループ内平均値を大きく上回っている。これは、本県特有の事情として、広大な県土面積を有し除雪箇所が多いため、除雪に係る経費が多額となっているためである。なお、主要構成項目の投資的経費(普通建設事業費及び災害復旧事業費)は、東日本大震災津波等の災害からの復旧・復興事業の進捗により、グループ内平均値を下回った。今後も「いわて県民計画(2019~2028)」第2期アクションプラン(行政経営プラン)に基づき、国の動向等も踏まえ、長寿命化対策の推進などにより公共事業を効果的に進める。また、公共事業以外の大規模施設整備についても、長寿命化対策を進めながら適切な整備を行うなど、歳出水準の適正化に取り組む。

実質収支比率等に係る経年分析(2023年度)

分析欄

財政調整基金残高は、前年度と比較して、0.34ポイント増加しているが、これは、収支均衡予算の実現に向け、令和5年度当初予算編成から収支ギャップの目標を定めて取り組んでいるところであり、令和5年度は基金取崩額を縮減(前年度比-42億円)したこと等によるものである。実質収支額は、令和2年度以降においては、新型コロナウイルス感染症対応事業の不用残が生じている影響により大きくなっている。(当該不用残は、翌年度以降に精算予定。)令和5年度は、前年度と比較し、歳入総額が695億円の減に対し、歳出総額と翌年度繰越財源額の合計額は692億円の減となっており、差引き3億円の減となっている。実質単年度収支は、前年度と比較して、財政調整基金残高が上記要因により増加したこと等により、増加した。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2023年度)

分析欄

いずれの会計も実質赤字又は資金不足を生じていない。実質収支の標準財政規模に占める割合については、電気事業会計における資金剰余額の減少等により、対前年度比で1.21ポイント低下している。

実質公債費比率(分子)の構造(2023年度)

分析欄

実質公債費比率の分子は、国の経済対策に呼応して建設地方債・財源対策債を多額に発行し、公共施設の整備に積極的に取り組んできたこと等により、高水準となっている。令和5年度においては、公共事業等債や一般単独事業債の償還額の減により県債元利償還金の額が減少したが、基準財政需要額の算入対象となる公債費も減少したこと等により、対前年度比では1.5億円の増となっている。公債費は、平成26年度をピークに低下しているものの、今後は、平成28年度台風第10号や令和元年度台風19号等に係る災害対応事業のほか、国の防災・減災、国土強靱化対策などの経済対策に呼応した事業の実施等により増加に転じることが見込まれため、低利資金の活用や資金調達方法の多様化を図り、適正に管理していく。

将来負担比率(分子)の構造(2023年度)

分析欄

将来負担比率の分子のうち、将来負担額については、令和5年度において、地方債の着実な償還及び地方債の新規発行額の減に伴い、地方債現在高が346億円減少したこと等により、対前年度比で371億円の減少となった。また、充当可能財源は、令和5年度は、基準財政需要額算入見込額が328億円減少したこと等により、対前年度比で283億円の減少となり、将来負担比率の分子としては、対前年度比で88億円の減少となった。公債費は、平成26年度をピークに低下しているものの、今後は、平成28年度台風第10号や令和元年度台風19号等に係る災害対応事業のほか、国の防災・減災、国土強靱化対策などの経済対策に対応した事業の実施等により増加に転じることが見込まれため、低利資金の活用や資金調達方法の多様化を図り、適正に管理していく。

基金残高に係る経年分析(2023年度)

基金全体

(増減理由)前年度と比較すると、基金全体の残高は65億円の増加となった。この主な要因は、「退職手当基金」に50億円を積み増したこと、「減債基金」に普通交付税の追加配分等を踏まえて35億円積み立てたこと、「財政調整基金」が取崩額の縮減等により13億円増加したこと等によるものである。(今後の方針)財政調整基金等の財源対策基金について、あらゆる歳入確保策や歳出水準の適正化のための取組を進め、長期的な健全財政に留意しながら、効果的な活用を図る。

財政調整基金

(増減理由)東日本大震災津波等の災害からの復旧・復興事業や社会保障関係経費の増等により生じた財源不足のため86億円を取り崩した一方、令和4年度決算に伴う実質収支より99億円積み立てたことにより、13億円の増となった。(今後の方針)令和6年度は、当初予算で80億円を取り崩したほか、豚熱や鳥インフルエンザ対応等の補正予算で13億円を取り崩し、2月補正で98億円を積み立てたことから、令和6年度末残高は、315億円となる見込みであり、前年度末残高よりも増加する見込みである。今後については、対標準財政規模比4%程度の残高の維持を目標としているところであり、あらゆる歳入確保策や歳出水準の適正化のための取組を進め、基金残高を確保していく。

減債基金

(増減理由)令和5年度は、普通交付税で臨時財政対策債償還基金費が追加配分されたこと等を踏まえて35億円を積み立てた。取り崩しは行っていない。(今後の方針)今後については、地方債の償還計画を踏まえ積立予定。

その他特定目的基金

(基金の使途)・公共施設等適正管理推進基金:県が行う公共施設その他の施設の長寿命化並びに配置及び規模の最適化を計画的に推進するための事業に要する経費の財源に充てるため。・緊急雇用創出事業臨時特例基金:雇用及び就業の機会を緊急かつ臨時的に創出すること等により失業者等の生活の安定を図るための緊急雇用創出事業に要する経費の財源に充てるため。・いわての学び希望基金:東日本大震災津波により、著しい被害を受けた幼児、児童、生徒、学生等の修学の支援、教育の充実等のための事業に要する経費の財源に充てるため。・退職手当基金:職員の退職手当の支給に要する経費の財源に充てるため。・地域振興基金:県内各地域の特性を生かした振興を図る事業に要する経費の財源に充てるため。(増減理由)・退職手当基金:退職手当の支給に備え、50億円を積み立てたことにより増加となった。地域医療介護確保総合基金:地域における医療及び介護の総合的な確保を図るための事業実施のため、24億円を取り崩したことにより減となった。・いわての森林づくり基金:森林環境の保全に関する施策に要する事業実施のため、14億円を取り崩したことにより減となった。(今後の方針)・東日本大震災津波関連の基金及び新型コロナウイルス感染症に係る基金については、事業の進捗に伴い、残高は減少していく見込みである。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2023年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

港湾・漁港、陸上競技場・野球場・球技場の有形固定資産減価償却率が類似団体を大幅に下回っているため、グループ内平均、都道府県平均を下回ることとなった。一方、体育館・プールや保健所など類似団体を大幅に上回る施設もあることから、「岩手県公共施設等総合管理計画」及び「個別施設計画」に基づき、引き続き施設の集約化について検討を進め、施設規模・総量の適正化に取り組んでいく。

債務償還比率の分析欄

地方交付税や地方税等の経常一般財源等が前年比で増加したこと等により、債務償還比率が前年比で改善した。また、債務償還比率はグループ内平均を上回っており、主な要因としては、過去の経済対策のために発行した地方債の残高がグループ内の団体と比較して多額であるためと考えられる。これまで低利資金の活用や資金調達の多様性を図ってきたが、引き続き、県債の発行規模等に留意しながら、公債費負担の軽減に努めていく。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

将来負担比率は、新規発行額の減少による地方債残高の減少や、基準財政需要額算入額控除後の標準財政規模の拡大等により、前年度より低下した。有形固定資産減価償却率は、野球場の新設により、昨年度に比べ1.8%低下し、グループ内平均を下回っている。引き続き、「岩手県公共施設等総合管理計画」及び「個別施設計画」に基づき、計画的な維持管理と長寿命化を推進しつつ、公共施設の集約化等について検討を進め、中長期的なコスト縮減を図ることにより、財政負担の平準化に取り組んでいく。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

実質公債費率はグループ内平均と比較して高い水準にあるが、R5決算はR4決算より低下している。実質公債費率低下の主な要因は、過去に借り入れた県債の償還額が減少しているためである。将来負担比率についてもグループ内平均値と比較して高い水準にあるが、R5決算はR4決算より低下している。低下の要因は、新規発行額の減少による地方債残高の減少や、基準財政需要額算入額控除後の標準財政規模が拡大したことが挙げられる。いずれの指標も早期健全化基準に達してはいないが、引き続き、県債の発行規模等に留意しながら、公債費負担の軽減に努めていく。

施設類型別ストック情報分析表①(2023年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

空港

学校施設

図書館

博物館

施設情報の分析欄

類似団体と比較して特に有形固定資産減価償却率が高くなっている施設は学校施設であり、特に低くなっている施設は公営住宅、港湾・漁港である。学校施設については、耐用年数を経過している財産が多く、全体として老朽化が進んでいることから、引き続き「個別施設計画」に基づき、適切な維持管理に取り組んでいくこととしている。公営住宅、港湾・漁港については、東日本大震災津波以降に整備、取得した財産が多くあることから、類似団体を下回ることとなった。ただし、公営住宅のうち災害公営住宅以外は、昭和51年度から昭和55年度に建設されたものが多く、今後一斉に更新時期を迎えることから「岩手県公営住宅等長寿命化計画」に基づき、計画的な維持管理・事業を推進し、長期間にわたる有効活用とライフサイクルコストの縮減等を図ることとしている。また、復旧が完了した港湾・漁港については、個別施設計画に基づき、適時適切な補修・更新などに取り組んでいくこととしている。

施設類型別ストック情報分析表②(2023年度)

体育館・プール

陸上競技場・野球場

県民会館

保健所

試験研究機関

警察施設

庁舎

消防施設

施設情報の分析欄

類似団体と比較して特に有形固定資産減価償却率が高くなっている施設は体育館・プール、県民会館、保健所であり、警察施設は低くなっている。なお、陸上競技場・野球場・球技場については、公共施設状況調査との整合性をとるために旧県営野球場の資産金額をストック調査から除いたことにより、前年度比29.2%減と大きく減少している。本県が所有する公共施設については、高度成長期から昭和50年代に竣工したものが多く、老朽化が進んでいる。半数以上の施設が令和22年に建設後50年以上経過する見通しとなっており、今後、大量に更新・大規模修繕の時期を迎えるため、施設の維持管理については「岩手県公共施設等総合管理計画」に基づき、「コスト縮減・財政負担の平準化」、「施設規模・配置・機能等の適正化」に取り組んでいくことが必要となることから、令和22年度までに、庁舎や県民利用施設などの公共施設の延床面積を85%程度(令和2年度比)となるよう見直しを進めていくこととしている。また、令和2年までに全ての施設において「個別施設計画」を策定したことから、計画に基づき老朽化対策に取り組んでいくこととしている。

財務書類に関する情報①(2023年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計において、資産は、前年度末と比較して、205億円減少(▲0.8%)している。この要因は、公共工作物の減価償却が進んだことによる有形固定資産中のインフラ資産の減少によるものと考えられる。資産のうち有形固定資産の割合が82.3%となっており、これらの資産は、維持管理や更新など、将来の支出を伴うものであることから、平成28年3月に策定(令和4年7月改定)した「岩手県公共施設等総合管理計画」に基づき、計画的な更新や長寿命化により、財政負担の軽減や平準化を図るなど、長期的な視点に立った公共施設等マネジメントの取組を推進していく。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計等においては、経常費用は5,529億円となり、前年度比329億円の減少(▲5.6%)となった。経常費用の内訳は、人件費等の業務費用が3,156億円、補助金等の移転費用が2,373億円となっている。最も金額が大きいのは補助金等(2,163億円、前年度比▲75億円)であり、純行政コストの40.1%を占めている。これは、全国で最も多い県立病院等(20病院、6地域診療センター)の運営に対する県負担金が計上されているためであると考えられる。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等においては、税収等の財源(5,587億円)が純行政コスト(5,391億円)を上回ったことから、本年度差額は195億円(前年度比▲49億円)となった。また、資産評価差額等を含めた本年度純資産額は、123億円の増加となった。これは、地方債等の償還による固定負債の減少や、国の補助金を受けて東日本大震災からの復旧・復興事業を進めてきたことによる資産の増加と減価償却時期の繰延べ等が要因として考えられる。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計においては、業務活動収支は520億円であったが、投資活動収支については、▲180億円となった。財務活動収支については、地方債償還支出が地方債発行収入を上回ったことから、▲355億円となっており、本年度末資金残高は前年度から15億円減少し、529億円となった。概ね経常的な活動にかかる経費は税収等の収入で賄えている状況であるが、引き続き、歳入確保の強化と歳出の重点化に取り組んでいく。

財務書類に関する情報②(2023年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

住民一人当たり資産額が類似団体平均を上回っているが、これは、東日本大震災津波に係る復旧、復興事業による施設整備を実施したためと考えられる。また、歳入額対資産比率は類似団体平均並みとなっているが、これは、東日本大震災津波に係る復旧、復興事業の進捗に伴い、歳入総額に含まれている当該事業に係る国からの補助金等が減少したこと等によるものと考えられる。有形固定資産減価償却率は類似団体平均を下回っているが、引き続き、「岩手県公共施設等総合管理計画」に基づき、計画的な更新や長寿命化により、財政負担の軽減・平準化を図るなど、長期的な視点に立った公共施設等マネジメントの取組を推進していく。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

純資産比率は近年上昇しており、類似団体平均を上回っている。これは、税収等の財源が純行政コストを上回る状況が継続し、純資産残高が増加しているためである。また、将来世代負担比率は、類似団体平均を下回っている。これは、本県が平成25年9月に「公債費負担適正化計画」を策定し、県債の発行額を抑制してきたこともあり、県債残高が減少傾向にあることによるものと考えられ、今後も、公債費負担の適正な管理に努めていく。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

住民一人当たり行政コストは類似団体平均と同程度であるが、昨年度から減少(▲2.5万円)している。なお、経常費用のうち補助金等に、全国で最も多い県立病院等(20病院、6地域診療センター)の運営に対する県負担金が計上されているため、本県においては、行政コストを押し上げる要因となっている。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

住民一人当たり負債額は、類似団体平均を上回っている。本県は、平成25年9月に「公債費負担適正化計画」を策定し、県債の発行額を抑制してきたこともあり、県債残高は、近年減少傾向にあるが、今後も、公債費負担の適正な管理に努めてい。また、基礎的財政収支は、業務活動収支の黒字分が基金積立金支出及び基金取崩収入を除いた投資活動収支の赤字分を上回ったため、458億円の黒字となり、類似団体平均値を上回った。前年度と比較すると、黒字額が増加しているが、要因としては、業務活動収支における物件費等支出の減少(▲205億円)が考えられる。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担比率は類似団体平均を下回っており、行政サービス提供に対する直接的な負担の割合は比較的低くなっている。経常収益が昨年度から12億円減少したこと、また、全国で最も多い県立病院等の運営に対する県負担金が計上されていることが要因と考えられる。類似団体平均まで受益者負担比率を引き上げるためには、仮に経常収益を一定とする場合は、経常費用を900億円程度削減する必要があり、経常費用を一定とする場合は、経常収益を30億円程度増加させる必要がある。受益と負担の適正化の観点から、毎年度、使用料及び手数料の改定検討基準による点検を実施しており、継続して取り組んでいく。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,