経営の健全性・効率性について
経常収支比率は100%を超えていること及び累積欠損比率も0%であることから経営状況は概ね良好であると考える。流動比率は各年度ともに100%を超えているものの、平成28年度では平成27年度と比較して7.82ポイントの減少となった。類似団体平均値は上回っているものの若干支払余力が減少したと言える。企業債残高対事業規模比率は類似団体平均値と比較すると各年度とも下回っている。平成28年度は242.74ポイント下回っている。将来的な管路更新に備え、計画的に事業を進めるとともに、料金収入に見合った規模の企業債を発行するなど、細かな分析に基づく対応が継続的に必要であると考える。経費回収率は平成27年度同様に100%を下回った。維持管理費等の削減に努め率の向上を目指す。汚水処理原価は類似団体平均値と比較して高い傾向であり、平成28年度では前年度と比較して6.78ポイントの減少となっている。引き続き有収水量の増加及び維持管理費等の削減に計画的に取り組んでいく。施設利用率は本市には終末処理場が存在しないため該当値はない。水洗化率は類似団体平均値と比較して良好だと考えるが、近隣市よりは低い。それぞれの地域における地理的条件等を勘案しながら、より合理的・計画的に、また、費用対効果等を考慮しながらその地域に最適と考えられる手法により事業を進め、更なる水洗化率の向上に努める。
老朽化の状況について
類似団体平均値は上回っており、平成26年度以降ほぼ同様の推移を示している。平成26年度に急激に有形固定資産減価償却率が上昇しているのは、公営企業会計制度の改正によるものである。管渠老朽化率は0%であり法定耐用年数を経過した管渠は存在しない。本市においては平成25年度に筑紫野市下水道長寿命化計画を策定しており、平成26年度以降において管渠の重要度、経過年数などを考慮しながら計画的に施設の更新及び長寿命化対策(更生工法)を行っていく。
全体総括
各種経営指標から、経営状況は概ね良好と考える。補てん財源は減少している傾向であるが、経営戦略において、投資・財政計画に基づき試算した結果、平成31年度を境に好転していくものと見込んでいる。「2.老朽化の状況について」においても述べたように筑紫野市下水道長寿命化計画に基づき老朽管渠の更新・長寿命化対策を行っていくが、事業費とその財源確保の方策に対する将来的な予測を総合的な見地から行い、両者のバランスを取りながら経営の安定化を持続させることが肝要であると考える。