経営の健全性・効率性について
経常収支比率,料金回収率とも類似団体平均よりも高く,給水原価は類似団体平均よりも低くなっている。これまでの経費の削減効果等によって,効率的で健全な経営が保たれている状況と考えられる。ただし,企業債残高対給水収益比率は類似団体平均よりも高くなっていることから,今後の企業債発行の抑制や元利償還金の返済による費用の増加等への対応が必要となる。また,有収率は高く,効率的に収益の確保ができているものの,施設利用率は類似団体平均を下回っており,今後の投資においては,施設のダウンサイジングの検討が必要である。流動比率が平成26年度に大幅に低下しているのは,会計基準の見直しにより企業債を負債に計上することとなったため生じたものであり,実質的に低下したものではない。
老朽化の状況について
将来的な施設更新の必要性を表す有形固定資産減価償却率と,管路の老朽化度合を表す管路経年化率は,類似団体平均を上回っているものの,平成25年度に策定した水道事業アセットマネジメント推進計画において想定耐用年数(60~80年)による更新計画を策定しており,施設の機能維持に努めている。管路更新率が低下した要因は,平成27年度は基幹管路の更新等を中心に行ったことによるものである。なお,今後も安定したサービスを提供し続けるため,計画的な管路の布設替が必要と考える。
全体総括
人口減少や節水意識の定着等による有収水量の減少に伴う給水収益の減少が見込まれる中,老朽化施設の更新や管路の耐震化が急務となっている。本年度末には,上下水道事業経営審議会から答申をいただく予定であり,平成29年度には,投資や経営の合理化を前提とした経営戦略を策定する予定である。将来の水需要を踏まえた,適切な施設や管路のダウンサイジングやスペックダウンを進めるとともに,料金体系の見直し等による収益確保に努め,長期的に安定したサービスの提供に向け,財政基盤の強化を図っていきたいと考えている。