経営の健全性・効率性について
萩市の特定環境保全公共下水道事業は、平成9年に事業着手、平成15年に供用開始を行い整備は完了している。なお、平成25年に隣接する漁業集落排水を取り込んで汚水処理を共同で行い効率化を図っている。平成29年度から地方公営企業法を適用したため、前年度以前の数値は無い。経常収支比率は100%を超え単年度収支は黒字となっている。経費回収率及び汚水処理原価は平均値より良好な数値ではあるが、使用料で経費を賄っていない状況であることや流動比率が低いことからも、より慎重な財政運営が必要となっている。整備完了から相当期間経っていることから水洗化率は平均値より高い数値となっているが、これ以上の増加は見込まれない。施設利用率については、当初の計画通り漁業集落排水を取り込んで処理の統合を行っているが、人口減少により整備計画の処理能力と乖離が生じている。
老朽化の状況について
平成15年供用開始を行い15年経過しており、有形固定資産減価償却率が平均値と比べると高くなっている。管渠については、耐用年数50年であるため、将来的には更新が必要となってくる。処理施設については、電気、機械設備の耐用年数は15年程度であるが、計画的、定期的にオーバーホールなどにより延命化を図っており、改築、更新は行っていないため、減価償却率は高くなっている。
全体総括
経費回収率が100%に達していないことから、安定した事業運営を行うためにも使用料のあり方について継続的に検討していく必要がある。整備が完了していることや市街地から遠方の処理区であることから、処理人口及び有収水量の対前年比の減少率は大きくなる傾向となっている。平成26年に下水道及び集落排水等の使用料を統一し、平成29年度からは、地方公営企業法の適用に併せて会計を公共下水道と一本化、平成30年度からは集落排水等も併せて会計を一本化することから、萩市全体で一つの下水道事業として持続可能な事業運営に取り組んでいくところである。