経営の健全性・効率性について
単年度収支は黒字で推移し、経常収支比率及び流動比率は100%を超えている。企業債については、新規発行額を償還額の範囲内とすることで残高の抑制に努めてきたが、令和2年度については、令和元年度の事業の繰越が多かったことから、残高が増加した。しかしながら企業債残高対事業規模比率は類似団体よりも低い水準で推移している。平成29年度決算から、決算状況調査における「分流式下水道等に要する経費に係る繰出金」の算定方法が全国的に統一された影響で、経費回収率は急激に低下するとともに、汚水処理原価は大幅に上昇している。令和2年度分を従来の方法で算定した場合、経費回収率は前年度の112.16%に対し115.98%と増加し、汚水処理原価は前年度の153.25円に対し146.89円と減少している。これらは主に、前年度において予防保全の観点から施設の修繕を積極的に実施したことにより増加していた維持管理費が例年の水準に減少したことや、資産減耗費・利息などの資本費が減少したことが要因と考えられる。施設利用率については、本市公共下水道事業は汚水と雨水の両方を処理する合流施設を多く有しており、その施設は雨天時を想定した処理能力となっているため、晴天時においては他団体に比べて低い水準になる特徴がある。水洗化率については上昇傾向にあり、引き続き水洗化促進の取り組みを行っていく。
老朽化の状況について
本市の公共下水道事業は事業着手から70年を経過しているが、有形固定資産減価償却率は類似団体よりも低い水準となっている。これは、本市の公共下水道事業が平成22年度に公営企業会計に移行するまでの減価償却累計額が反映されていないことによるものである。実際には施設の老朽化は、管渠老朽化率に示されるとおり、類似団体に比べ進んでいる状況にある。現在本市は国土交通省の示す「10年概成」に沿って下水道整備区域の見直しを進める一方、既存施設の改築更新を積極的に進めている。老朽化したポンプ場の更新を優先的に進めてきたことから下降していた管渠改善率は、財源を確保したうえで管渠の更新にも積極的に取り組んだ結果、令和2年度は大幅に上昇した。
全体総括
本市の公共下水道事業は、現時点においては黒字を計上しているが、人口減少に伴う使用料収益の減少や老朽化施設の改築・更新に要する経費の増大により経営状況はますます厳しくなっていくことが予想される。このような状況においても事業を継続していくために、従来努めてきた経費削減に加え、官民連携手法の活用による事業の効率化に努めるなど、一層の経営努力を行っていく必要がある。