経営の健全性・効率性について
農業集落排水事業は、漁業集落排水、小規模集合排水事業と同一会計で運営を行っている。経営状況としては、料金体系が負担の公平性の観点から公共下水道と同一となっていることから、使用料収入等の自主財源で維持管理経費を賄う事ができず、市債償還額の不足分をあわせた収支不足額を一般会計繰入金により措置することで収支均衡としている。①収益的収支比率は68.98%と、前年度に比べ0.97ポイント向上している。これは、市債元利償還額の増及び資本費平準化債の制度変更による借入額の減により、総収益中の一般会計繰入金(資本費充当分)が増加したためである。⑤経費回収率、⑥汚水処理原価は、公債費以外の経費の減により数値は昨年度から改善しており、類似団体平均に対しても上位となっている。⑦施設利用率、⑧水洗化率は類似団体平均を上回っており、昨年度に比べ数値も向上している。引き続き接続促進等、普及活動を行い、水洗化率の向上を図っていくことが必要である。
老朽化の状況について
本事業は、市内に36箇所の処理場を抱えており、これらの施設の中には供用開始後30年を経過した施設も存在している。処理場等の施設及び機器類については、老朽化の状況に応じ順次修繕、機器更新を行っている。また、管渠については現在耐用年数を経過するものはないが、管路調査等により判明した不良個所について更正工事を行っている。今後、施設の更新期を迎えるにあたり、将来にわたる更新コストの抑制、効率的な施設運営を行うため、ストックマネジメント計画の策定、公共下水道に隣接する施設の公共下水道への接続及び施設の統廃合の検討を行い、計画的な更新、長寿命化を図っていく予定である。
全体総括
本市の農業集落排水事業は、平成28年度末をもって新設事業を完了し、維持管理主体の事業となる。本事業は、比較的小規模な施設が市内に点在しており、老朽化の進んでいる施設もあるため、経費の節減に努めるほか、施設の統廃合、更新及び長寿命化を進め、効率的な管理運営を図っていく必要がある。また、本事業は平成31年度に公共下水道事業等と共に企業会計に移行する予定である。移行後は、経営戦略の更新を早期に行い、財政状況や経営状況の的確な把握に努め、経営改善に生かす予定である。