経営の健全性・効率性について
当事業は、一般会計からの繰入れや長期前受金戻入など、使用料以外の収入を前提としたうえで、経営の健全性・効率性が保たれている状況である。①経常収支比率が100%以上で、②累積欠損金も発生していないが、総収益のうち下水道使用料の占める割合は49%であり、一般会計からの繰入金など使用料以外の収入を含めて費用を賄っている状況である。③流動比率は、20%台と低い値で推移しているが、これは流動負債に建設改良等に充てた企業債を含んでいるためであり、その財源は次年度の使用料や一般会計からの繰入金による収入を予定している。④企業債残高対事業規模比率は、企業債残高の減少に伴って前年度に比べ低下している。⑤経費回収率・⑥汚水処理原価は、減価償却費や支払利息等の費用のうち、一般会計からの繰入金などで賄った費用を除いて算定したものである。今後は、更なる経費削減とともに一般会計への依存度を徐々に下げることも検討する必要がある。⑦施設利用率については、処理場を有していないため算定できない。⑧水洗化率は、類似団体と比較してほぼ同水準となっている。今後、大幅な上昇は見込めない状況であるが、近年供用開始した区域も含めた接続勧奨等で未接続世帯の接続促進を図る必要がある。
老朽化の状況について
当事業は、平成26年度に面整備事業が完了している。償却資産の大半を占める管渠は現時点で老朽化の度合は低いが、ポンプ場の機器等については、法定耐用年数を超えるものもある。①有形固定資産減価償却率は、類似団体に比べ低い状況であるが、年々上昇している。また、今後も上昇するものと見込んでいる。②管渠老朽化率は、法定耐用年数に達したものがないことから0%となっているが、過去、一定期間に集中的に事業を実施した期間もあり、将来その当時の施設が一斉に耐用年数に達する状況となるため、事業の平準化も考慮した計画的な更新計画を策定する必要がある。③管渠改善率一部の管渠において改修を実施したことによるが、これは土質条件等で局所的に破損した管渠を改修したものである。現時点では計画的な改修の予定はない。なお、当事業の汚水は、すべて島根県管理の流域下水道に接続して処理しており、処理場は有していない。
全体総括
当市の下水道は、有収水量が減少する見込みの中、これまで整備してきた多くの施設や設備の老朽化が進行し、多額の更新費用が必要となるなど経営環境は厳しさを増していく状況にある。収益の確保と費用の削減に努め、将来にわたって効率的な経営を行っていくことが喫緊の課題である。効率的な経営のための施策を盛り込んだ今後10年間の経営計画を策定することとし、公共下水道のほか集落排水や公設浄化槽などの事業も含めた下水道一体での経営健全化に取り組む。【経営の健全化・効率化】下水道未接続世帯への接続勧奨の実施や、地域の下水道事業実施時に事情により公共桝や下水管が未設置となった箇所で、下水道への接続を可能とするための工事(公共桝設置等)を実施し、接続の促進を図り、使用料収入の確保に努める。将来の更新費用と維持管理費用の縮減を図るため、集落排水施設を流域下水道へ接続することを主体とした施設統廃合を推進する。【老朽化対策】ポンプ場施設等の設備・機器の更新期が近づいており、今後の更新を効率的に実施するため、機器等の劣化状況等を調査するとともに、施設ごとの更新計画を策定する。計画は、施設の統廃合やダウンサイジング、事業の平準化などを考慮したものとする。