経営の健全性・効率性について
①経常収支は100%を超え、また、②累積欠損金も発生していないことから、両比率とも良好な値を示している。しかし、一般会計からの繰入が総収益の57.9%を占める一方、使用料収入は15.4%にとどまっていることから、将来的に繰入金の減少が見込まれること等を考慮すれば、今後は、維持管理費の抑制はもとより、財源構成についての検討も必要である。③流動負債に対する流動資産の割合である流動比率の急激な落ち込みは、H26の会計基準の見直しに伴い、それまで資本と扱われていたものが負債勘定に計上されることになったために生じたもので目安となる100%の水準を大きく下回っているものの、使用料収入や一般会計からの繰入等により支払い能力は確保されている。④H26に比率が急激に上昇した理由は、最大限見込んでいた一般会計が負担する額を、最小限度の見込みに改めたことによるものである。企業債の償還に伴い、当比率は今後も低下傾向が続く見込みである。ただし人口規模も少なく年々減少傾向であるなか、類似団体との比較からも過去投資が過大傾向にある点は否定できない。(料金は全地域統一で改定済みである。)⑤経費回収率は、汚水処理費の低減、使用料改定による収益の改善により100%を超え改善した。⑥汚水処理原価は、資本費に係る汚水処理費が前年度に比べて減少したことにより改善した。今後、労務単価等の上昇や維持管理費の増加といった懸念はあるものの、包括民間委託の中で計画的な維持管理、修繕等の推進、不明水対策、施設の更新に関する方針など、継続的にコスト低減が図られるよう市と委託管理者とで連携し取組んでおり、改善基調が表れている。⑦施設利用率は、類似団体及び全国平均値と比較しても高い水準で推移している。⑧水洗化率は、全国及び類似団体の平均値と比較しても安定して高い水準を維持し、堅調に向上している。
老朽化の状況について
供用開始が昭和61年度と比較的新しく、現在も建設改良事業を進めている。現時点では、管渠の老朽化の度合いは深刻な状況とはなっていない。しかし、短期間に集中的かつ大規模に整備を行ってきた経緯があることから、将来、更新時期が一斉に到来することが懸念される。
全体総括
全体的に経営の健全性・効率性を表す指標は、概ね良好に推移しているといえるが、流動比率において、収益に占める使用料の割合が低く、一般会計からの繰入金や公共下水道事業との一体的な運営が前提となっている性質上、低い状況である。また、将来的には施設の更新時期が一斉に到来することで財政状況を圧迫することが懸念されるため、将来像と投資需要を適切に把握し、ストックマネジメントを活用した施設の統廃合やダウンサイジングといった効率的な施設管理に取組む必要がある。本市では28年度に「鳥取市下水道等事業経営戦略」を策定し29年度から10年間を計画期間と定め、各種目標の達成に取り組んでおり、今後も経営の健全化に努めます。