経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率については100%を下回っており、単年度の収支において赤字である。平成29年度は平成30年4月1日からの地方公営企業法適用に伴う打切り決算の影響により例年に比べ低くなっている。特例的収入及び支出を加味すると約79%となり、ここ数年80%前後の水準で推移している。できる限り100%に近づくよう今後もコスト削減等の更なる経営改善に向けた取り組みが必要である。④企業債残高対事業規模比率についても、平成29年度は打切り決算の影響により前年度より増加しているが、営業収益の特例的収入を加味すると約860%となり、減少傾向にある。類似団体との比較においても低い水準で推移している。これは、事業開始当初に集中して行った投資について、多額の借り入れをしており、その後の投資についても、町単独費部分はほぼ起債で賄っているので、企業債残高が多額になっているが、近年、普及率の高まりによる新規投資の規模縮小に伴い、新たな借り入れ額も徐々に減少し、企業債残高も減少傾向にあるためである。今後はできる限り新たな起債の発行を抑制し、将来の更新投資に備え、財源を確保する必要がある。⑤経費回収率についても100%を下回っており、汚水処理に係る費用を使用料で賄えていない。こちらも、平成29年度は打切り決算の影響により前年度より低くなっているが、使用料収入の特例的収入を加味すると約78%となる。年々改善傾向にあるものの、類似団体と比較してもやや低い水準にあり、使用料収入とその他の収入のバランスについての検討が必要である。⑥汚水処理原価については、類似団体と比べても良好な水準で、年々減少傾向にある。これは、以下の理由により、維持管理費等のコスト節減につながっていることが要因として考えられる。(1)地理的に平坦ではあるが、処理区域が狭くすべて自然流下となっているため汚水ポンプ場を有していない。(2)流域関連公共下水道として加古川下流流域下水道に接続しているので、終末処理場を有していない。今後も汚水処理に係るコスト節減に努めるとともに、より有収水量を確保することにより、汚水処理原価について良好な水準を維持する必要がある。⑧水洗化率については、類似団体との比較において、ほぼ同程度の水準を維持している。下水道使用料の増収の観点から、今後も100%を目指して未水洗化世帯の下水道への接続促進に努める必要がある。
老朽化の状況について
③管渠改善率について、管渠は昭和63年度の施工以来、最長のものでも経過年数30年程度であり老朽化はそれほど進んでいない。平成28年度に、わずかに存在する陶管について、管更生工事による更新・改良工事を実施した(施工延長0.06km)が、平成29年度においては管渠の更新は行っていない。今後は、管渠の定期的な点検・調査を実施し、できる限り長寿命化を図りながら、将来の大規模更新に備え適切な維持管理に努める必要がある。
全体総括
経営状況については、類似単体と比較してもそれほど遜色なく、おおむね良好な数値になっていると考えられる。ただ、収益的収支比率、経費回収率ともに100%に達していない状況の中で、現状の水準を維持しながら、更なる経営改善に向けた努力も必要である。そのために、平成30年度から地方公営企業法を適用し、企業会計方式により経営成績や財政状態、資産等を的確に把握した上で、投資と財政の均衡した経営戦略を策定することにより今後の資産更新、使用料水準及びその他の収入とのバランス等について検討していくとともに、将来に向けて、安定した持続可能な経営基盤を構築していくこととしている。